満願寺 (栃木市)

栃木県栃木市出流町に佇む古刹、満願寺

満願寺は、栃木県栃木市出流町に位置する真言宗智山派の寺院です。出流山を背に、静寂な自然に抱かれたその佇まいは、訪れる者に安らぎを与えてくれます。山号を出流山とし、本尊は千手観世音菩薩。坂東三十三観音霊場の第17番札所として、古くから多くの巡礼者たちが訪れる霊場でもあります。

歴史と伝承

寺伝によれば、満願寺の創建は天平神護元年（765年）に勝道上人によってなされたと伝えられています。その後、弘仁11年（820年）には空海が勝道上人の徳を慕い参詣、当山の銘木を用いて千手観世音菩薩像を造立したとされています。この逸話は、満願寺の格式の高さを示すものであり、多くの信仰を集めてきた歴史を物語っています。また、幕末には、歴史の大きな転換期における出来事である「出流山事件」の舞台ともなった寺院でもあります。

見どころと文化財

満願寺には、歴史的価値の高い建造物が数多く現存しています。

本堂: 享保20年（1735年）に建立された本堂は、栃木県指定有形文化財に指定されており、その荘厳な姿は必見です。重厚な木造建築は、時代の流れを感じさせ、歴史の重みを感じさせてくれます。
仁王門: 市指定文化財である仁王門は、威風堂々とした仁王像が来訪者を迎えます。風格ある門をくぐり抜けると、境内へと続く道が開けます。
出流鍾乳洞・出流自然林: 寺院周辺には、市指定天然記念物である出流鍾乳洞と出流自然林が広がっています。神秘的な鍾乳洞と豊かな自然林は、満願寺の静寂な雰囲気をさらに深めています。

境内には、大悲の滝や大日霊窟、不動霊窟など、自然と信仰が融合した霊験あらたかな場所も点在しています。これらのスポットは、静かな散策を楽しむのに最適な場所です。

アクセスと周辺情報

満願寺へのアクセスは、JR東日本両毛線または東武日光線「栃木駅」から、ふれあいバス寺尾線「出流観音」バス停下車後、徒歩5分です。周辺には、豊かな自然に恵まれた環境が広がっており、散策やハイキングを楽しむこともできます。

坂東三十三観音霊場と関東八十八箇所

満願寺は、坂東三十三観音霊場の第17番札所であり、関東八十八箇所の札所でもあります。これらの霊場巡礼のルート上にあることから、多くの巡礼者にとって重要な寺院となっています。

坂東三十三観音霊場: 16番札所 水澤寺、17番札所 満願寺、18番札所 中禅寺（日光市）
* 関東八十八箇所: 17番札所 宝性寺、特別札所 満願寺、18番札所 長清寺（栃木市）

満願寺は、歴史、文化、自然が一体となった貴重な場所です。静寂な空間の中で、歴史と自然に癒され、心の安らぎを得ることができるでしょう。ぜひ一度、訪れてみてください。

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