源実国

源実国（みなもと の さねくに）は、平安時代中期の武士、官人として知られています。源頼国の四男として生まれ、その生涯において様々な官職を歴任しました。

略歴

永承3年（1048年）頃には蔵人としての活動が記録に残っています。また、和歌にも造詣が深く、永承4年（1049年）には内裏歌合に出席するなど、文化的な活動も行っていました。

実国は、代々源氏が拠点としていた多田庄を継承せず、摂津国内に新たに生島庄を開発したことでも知られています。この生島庄の開発は、彼の勢力拡大や経済基盤の確立に大きく貢献したと考えられます。

官歴については詳細な記録は残っていませんが、受領として四位にまで昇り、最終的には常陸介を務めたとされています。承暦4年（1080年）には61歳で出家しており、その晩年は仏道に専念したことが伺えます。

系譜

父：源頼国（?-1058?）
母：藤原信理の娘
妻：平教盛の娘
生母不明の子女
男子：源行実
男子：源国正
男子：行延

実国の子孫は、代々摂関家に仕える京武者や中下級貴族として家系を存続させました。また、僧侶も輩出しており、鎌倉時代初期に朝廷と幕府の交渉にあたった国基や、その子である観基（寛基）、天台座主となった慈賢などが知られています。これらの人物は、政治や宗教の分野で活躍し、源氏の勢力を広げる役割を果たしました。

実国が開発した生島庄は、嫡子の行実から顕行、雅行へと受け継がれ、その後も実国の子孫が代々相伝しました。生島庄は、源氏一族にとって重要な経済基盤であり、その維持と発展に尽力したことが伺えます。

源実国は、武士、官人、文化人としての側面を持ち、その生涯を通じて源氏の発展に貢献しました。彼が開発した生島庄は、子孫によって長く受け継がれ、源氏の勢力を支え続けました。彼の足跡は、平安時代中期の社会や文化、そして武士のあり方を理解する上で貴重な情報源となっています。

脚注

赤木志津子編『訓読春記』（1981年、近藤出版社）
『新編国歌大観』第五巻 歌合編 歌集（1987年、角川書店）
『兵庫県史』史料編 古代二（1985年、兵庫県）

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