源義綱

源義綱：栄華と悲劇の生涯

源義綱は、平安時代後期を駆け抜けた河内源氏の武将です。源頼義の次男として、兄の源義家（八幡太郎）、弟の源義光（新羅三郎）と共に、名門河内源氏の一員として歴史の舞台に登場しました。

義綱は河内国で生まれ、賀茂神社で元服後、賀茂次郎と呼ばれました。父や兄と共に前九年の役に参戦し、その功績から左衛門尉に任ぜられます。しかし、兄である義家とは確執があり、所領争いや、合戦寸前まで事態が悪化する出来事もありました。

後三年の役においては、朝廷から陸奥国への派遣が検討されましたが、実現には至りませんでした。このことは、義家との関係悪化と無関係ではないと考えられます。一方、義綱は関白藤原師実の信頼を得ており、師実の行列警護や、重要な儀式への参加など、朝廷内での存在感を示していました。

出羽守の殺害事件では、義綱は迅速な対応で事件を鎮圧し、その功績によって従四位下に叙せられ、美濃守に転任しました。この頃の義綱は、兄・義家にも劣らない勢力を誇っていたと伝えられています。

しかし、美濃での荘園領をめぐる争いで、延暦寺と対立。この事件は、義綱の主君である関白藤原師通の死につながったともいわれています。師通の死後、義綱の勢力は衰え、それ以降、受領に任じられることはありませんでした。

一方、義家は白河法皇に仕え、勢力を拡大していきます。嘉承元年（1106年）、義家が亡くなると、河内源氏の棟梁は義家の四男・義忠が継ぎました。

天仁2年（1109年）、義忠暗殺事件が発生します。この事件に、義綱の三男義明や郎党が関与したとの疑いがかけられ、義明は殺害されました。この事件をきっかけに、義綱とその息子たちは、朝廷に反発し、甲賀山に立て籠もりました。

しかし、朝廷軍の攻撃を受け、義綱は降伏しようとしましたが、息子たちは抵抗を続け、次々と自害していきました。義綱自身も出家し、為義に降伏した後、佐渡に流されました。

『尊卑分脈』は義忠暗殺事件の犯人を義綱の弟・義光とする説を挙げていますが、真相は不明です。義綱はその後、許されて帰京したものの、長承3年（1134年）に自殺したとされています。

義綱は、兄義家と並ぶほどの権勢を誇った時期もありましたが、様々な出来事によってその地位を失い、悲劇的な最期を遂げました。彼の生涯は、平安時代後期の権力闘争の激しさ、そして栄華と没落の儚さを象徴する出来事と言えるでしょう。義綱、そして彼の子息たちの最期は、後世に多くの謎と悲しみを残しました。祖父頼信、父頼義、兄義家、弟義光と共に、河内源氏の氏神である壷井八幡宮に祀られています。

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