源頼清

源頼清：河内源氏の隆盛と衰退を象徴する武士・官人

源頼清（みなもと の よりきよ）は、平安時代中期に生きた武士であり、同時に官人としても活躍しました。河内源氏の祖である源頼信の次男として生まれ、兄には源頼義がいます。母は修理命婦で、頼義とは同母兄弟です。頼清は、その生涯において、武士としての側面と、藤原氏に仕える官人としての側面を併せ持ちました。

生い立ちと初期の不遇

頼清の生年は正確にはわかっていません。「左近ノ大夫」と呼ばれた若い頃は、必ずしも恵まれた境遇ではなかったようです。逸話によると、藤原道綱の子である道命から粥を与えられていたと伝えられています。このエピソードは、頼清が若い頃、経済的に困窮していた可能性を示唆しています。しかし、その後、頼清は才能を開花させ、官人として頭角を現していきます。

官人としての台頭

頼清が歴史の表舞台に登場するのは、寛仁元年（1017年）のことです。三条院の死去を藤原道長に伝える使者を務めた記録が残っています。この時、頼清は伯父である源頼光の推挙によって、三条院に仕えていたと考えられています。翌年には中務少輔に任じられ、中務省の官人として、長元改元の詔書の取り次ぎなど、重要な任務をこなしました。さらに、治安元年（1021年）には、関白・藤原頼通の家司・侍所別当に就任。頼通の側近として、その権勢を支えました。頼清が文官としての才能を認められていたことは、父・頼信が兄・頼義を武者として推挙したのに対し、頼清を蔵人として推挙したという逸話からも伺えます。

受領としての活躍と昇進

長元4年（1031年）、頼清は安芸守に任じられ、任国へ出発します。この人事は、平忠常の乱を鎮圧した父・頼信への恩賞としての側面もあったと見られています。この受領としての任官は、頼清の出世において、兄・頼義を追い抜くきっかけとなりました。安芸守として優れた働きを見せた頼清は、その後も重任されたと考えられます。永承3年（1048年）には前陸奥守として記録に残り、その後、肥後守に任じられたことが確認できます。頼清は、最終的には従四位下にまで昇進し、官位において兄・頼義を凌駕しました。

頼清系の衰退

このように、頼清は官人として成功を収め、その系統が河内源氏の嫡流となる可能性も秘めていました。しかし、頼清の孫である惟清が、嘉保元年（1094年）に白河院を呪詛するという事件を起こし、一族は流罪となります。この事件は、頼清の系統に致命的な打撃を与えました。また、11世紀後半以降、軍事貴族には文官としての能力よりも軍事的な能力が求められるようになったことも、頼清の系統が衰退した背景にあると指摘されています。頼清の系統は、その後、信濃国に拠点を築いた顕清の子孫が村上氏を称して存続しました。

まとめ

源頼清は、平安時代中期の武士・官人として、その生涯において、武士としての血筋と官人としての才能を発揮しました。兄・頼義よりも早く出世を果たし、その系統が河内源氏の嫡流となる可能性もありましたが、子孫の不祥事や時代の変化により、衰退を余儀なくされました。頼清の生涯は、河内源氏の盛衰を語る上で、重要な一例と言えるでしょう。

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