準空気銃

準空気銃とは

準空気銃とは、圧縮した気体を使用して弾丸を発射する銃のうち、その弾丸の運動エネルギーが法令で定める基準を超えるものを指します。具体的には、人の身体に傷害を与える可能性があると判断されるエネルギーを持つものが該当し、これは狭義の空気銃とは区別されます。

この規制は、エアソフトガン（遊戯銃）の威力を高めた改造による事件が多発したことを背景に、2006年の銃砲刀剣類所持等取締法（銃刀法）改正によって導入されました。準空気銃に該当するエアソフトガンは所持が禁止されており、違反者には罰則が科せられます。

規制の経緯

エアソフトガンは1970年代中頃から販売され始め、1980年代のサバイバルゲームブームとともに市場を拡大しました。当初、製造業者は自主[[規制]]団体を設立し、弾丸の威力を規制していましたが、法的根拠がないという問題がありました。

自主[[規制]]団体に加盟しない業者が高威力なエアソフトガンや改造部品を販売する状況が放置されていた結果、2000年代に入ると、改造エアソフトガンを使用した傷害事件や器物損壊事件が多発しました。2005年には、改造エアソフトガンによる連続車両銃撃事件が発生し、改造部品販売業者が摘発されたことを契機に、法改正による規制強化が実施されました。

銃刀法改正

2006年 3月7日、警察庁は、改造エアソフトガンによる犯罪を防止するため、内閣府令で定める値以上の威力を持つものを「準空気銃」と定義し、所持を禁止する規定を盛り込んだ改正銃刀法案を国会に提出しました。

改正法は同年5月18日に可決成立し、5月24日に公布、8月21日に施行されました。ただし、施行日以前から所持していた準空気銃については、威力の適正化のため6ヶ月の経過措置期間が設けられ、2007年 2月21日に完全施行となりました。

この改正では、製造業者や販売業者が威力の適正化に協力することが求められました。また、職務上の必要性がある場合や、公務員が試験・研究、公衆の観覧のために所持する場合、製造業者が事業所の所在地を管轄する都道府県公安委員会に届け出て公務員の職務用途に供するために製造する場合、または輸出のための製造もしくは輸出を業とする者が業務上所持する場合は、例外的に所持が認められます。

準空気銃は、狩猟や射撃競技に使用される実態がないため、公安委員会の許可対象にはなりません。また、準空気銃を使用して法令で定める違法行為を行った場合、10年間は猟銃などの所持許可を取得できなくなります。

準空気銃は、銃刀法で定められた一時保管の対象にもなります。

威力規定

準空気銃は、内閣府令で定める方法で測定した弾丸の運動エネルギーが、人を傷害しうる（出血や皮膚組織の挫滅など）と判断される値（3.5ジュール/平方センチ[[メートル]]）以上であるものを指します。

弾丸の運動エネルギーは、摂氏20度から35度の室内で、銃口から0.75メートルから1.25メートルの距離を移動する弾丸の速度と質量から計算されます。

準空気銃に該当しない威力の上限は、弾丸の断面積に3.5を掛けた値で算出され、6mmBB弾の場合は0.989ジュール未満、8mmBB弾の場合は1.64ジュール未満となります。

罰則

準空気銃の所持禁止に違反した場合、1年以下の懲役または30万円以下の罰金が科せられます。

業界の対応

法規制値は、業界の自主[[規制]]値よりも高い数値に設定されたため、自主[[規制]]団体に加盟する製造業者のエアソフトガンは、原則として合法となるはずでした。しかし、実際には自主[[規制]]を遵守していない業者も多く、法規制値を超える製品が存在しました。

このため、各メーカーは、全機種にわたり安全宣言を行った業者と、改修が必要な機種を発表した業者に分かれました。改修対象となったエアソフトガンは、経過措置期間中に威力の適正化を行う必要がありました。

現在では、法改正に対応したエアソフトガンであることを示す証紙が製品に貼付されています。また、自主[[規制]]団体は、ユーザー自身が威力を測定できる安価な測定器を開発しました。

この法規制は、悪質な業者やユーザーを排除できる法的根拠ができたこと、また、規制値が自主[[規制]]を尊重する数値に定められたことが評価されています。