溝口直諒

溝口直諒（みぞぐち なおあき）

溝口直諒は、江戸時代後期の大名であり、越後国新発田藩の第10代藩主を務めました。その治世は、藩財政の悪化や天災との闘いでありましたが、同時に学問を奨励し、独自の思想を育んだ人物でもありました。

生涯

享和2年（1802年）に9代藩主・溝口直侯の長男として江戸で生まれました。幼名は駒之助。父の死後、4歳という幼さで家督を継いだため、当初は親族の松平信明が後見を務めました。文化10年（1813年）からは自ら政治を行うようになり、翌年には将軍・徳川家斉に初めて謁見しました。文政6年（1823年）以降は、幕府領を預かるなど、藩主としての責務を果たしました。

天保9年（1838年）に家督を長男の直溥に譲り隠居。安政5年（1858年）に60歳で死去し、駒込吉祥寺に葬られました。

治世と人物

直諒の治世は、異国船の到来に伴う海防費用の増加や、天災の頻発により、藩財政は逼迫しました。直諒自身も財政改革を指示しましたが、天災や飢饉により、思うような成果を上げることができませんでした。苦境の中、領内の大地主や豪商に頼らざるを得ない状況でした。

しかし、直諒は学問を好み、江戸に講堂を設け、藩校を充実させるなど、教育にも力を注ぎました。隠居後は「健斎」または「退翁」と号し、学問論や海防論、勤王論などの著書を執筆し、尊王開国論を主張しました。また、茶の湯にも傾倒し、石州流怡渓派から一派を起こし、越後怡渓派の祖となりました。

系譜

子女は多数いましたが、以下には成人した者を記載します。

父：溝口直侯
母：里代 - 側室
正室：歌姫
継室：浅野斉賢の娘
側室：稲美
長男：溝口直溥 - 11代藩主
六男：本多忠穆 - 伊勢神戸藩主・本多忠都の養子となる予定であったが早世
男子：溝口養正 - 旗本・溝口直徳の養子
三女：菊姫 - 大村純顕の正室、のち内藤政義の正室
五女：重姫 - 戸田光則の正室

溝口直諒は、激動の時代に藩主として、また思想家として生きた人物でした。

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