浅野斉賢

浅野斉賢（あさの なりかた）

浅野斉賢は、江戸時代後期に活躍した大名であり、安芸広島藩の第8代藩主です。浅野家23代当主として、藩政の安定化と文化の発展に貢献しました。

生涯

安永2年（1773年）、第7代藩主・浅野重晟の次男として生まれました。幼少の頃から聡明で、安永4年（1775年）には父の嫡子となります。天明7年（1787年）には将軍徳川家斉に拝謁し、その才能を認められました。寛政元年（1789年）に元服し、従四位下・右京大夫に任官。将軍・徳川家斉より偏諱を授かり、斉賢と名乗るようになりました。

寛政6年（1795年）には侍従に任官し、朝廷でも重要な役職を担います。寛政11年（1799年）には父の隠居に伴い家督を継ぎ、広島藩主となりました。藩主就任後は、通称を安芸守に改め、藩政に力を注ぎます。文化13年（1817年）には左少将に任官し、その名声をさらに高めました。

文政13年（1830年）、58歳でこの世を去り、その跡は長男の斉粛が継ぎました。

藩政と事績

斉賢は、先代である父・重晟の藩財政再建策と殖産政策を引き継ぎ、藩政の安定化に尽力しました。その結果、広島藩の財政は大きく改善され、安定した藩運営が行われるようになりました。

また、文化事業にも力を入れ、藩儒の頼杏坪らに命じて藩内の地誌である『芸藩通志』を編纂させました。この地誌は、当時の広島藩の地理や歴史、文化を知る上で非常に貴重な資料となっています。文化7年（1810年）には、父・重晟と共に浅野家初代の浅野長政らを祀る新たな位牌堂を造営。これが後の饒津神社の前身となりました。これらの事績から、斉賢が文化の発展にも深く貢献したことがわかります。

多様な側面

斉賢は、将棋を愛好したことでも知られています。文化9年（1812年）には、将棋の名人である大橋宗桂（10代）を屋敷に招き、対局を楽しんだという記録が残っています。

また、文化10年（1813年）には、ロシアに漂着し帰国した久蔵と面会しました。久蔵は帰国の際に種痘苗を持ち帰っており、斉賢にその効果を進言しましたが、当時は信じられることはありませんでした。しかし、この種痘苗は広島県にもたらされた最初のものとして、その後の医学の発展に大きく貢献することになります。

系譜

父：浅野重晟（1743-1814）
母：陽姫（1751-1773） - 徳川宗勝の九女
正室：織子女王（1780-1796） - 有栖川宮織仁親王第一王女
継室：泰君 - 徳大寺実祖の娘
側室：梅梢院（宮川氏）
長男：浅野斉粛（1817-1868）
生母不明の子女
女子：輝 - 美代、松平直温正室、のち上杉斉定継室
女子：秋元久朝正室
女子：久美 - 前田利保正室
女子：歌姫 - 見明院、溝口直諒正室
女子：益 - 細川斉護正室
女子：溝口直諒継室
女子：嘉代 - 信楽院、宗義和正室
* 女子：加代子 - 立花鑑備正室

浅野斉賢は、藩主としてだけでなく、文化人としても多才な人物であり、その足跡は今もなお、多くの人々に語り継がれています。

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