溝延氏

溝延氏についての詳細

出自

溝延氏（みぞのべし）は、寒河江大江氏を起源とする日本の武士の一族で、居城の溝延城は現在の山形県西村山郡河北町に位置しています。この地名は、最上川とその最大の支流である寒河江川が合流する地点に「溝」が延びる地形に由来すると考えられています。溝延城は、北側を最上川、南側を寒河江川に守られた自然の要害であり、寒河江大江氏の本城である寒河江城からも近く、戦略的に重要な拠点でした。

溝延氏の祖は、南北朝時代の寒河江大江氏の当主である時茂の長子、茂信です。茂信は1368年の漆川の戦いで総大将として戦ったものの、戦死しましたが、その後の子孫は白岩氏、左沢氏と共にこの地を支配し続けました。興味深いことに、茂信の死後には彼の家老である安孫子氏が殉死したという記録があります。

戦国時代の発展

溝延氏は戦国時代に入っても重要な役割を果たしました。4代目の満教が出羽吉川氏から地を受け継ぐと、戦略の変化に伴い、家臣である安孫子氏が実権を握るようになりました。この際、永禄4年（1561年）には慈恩寺舞童帳に記録されており、溝延城主の雄広が寒河江城主兼広や白岩城主宗広と共にその権威が認識されたことが示されています。

また、天正2年（1574年）には天正最上の乱が勃発し、溝延氏は寒河江氏の居城、寒河江城の攻略にも関与しました。そのため、彼らの独自性は徐々に強まっていったものと考えられます。しかし、同時に系譜や古文書には白岩城主と溝延城主の混同や相違が見受けられるため、今後の研究課題が残されています。

滅亡とその後

天正12年（1584年）、出羽統一を目指す山形城主最上義光の攻撃を受けて、寒河江大江氏と共に溝延氏も滅亡しました。その際、家老の安孫子氏はみずからの身を守るために慈恩寺に隠れたものの、最上氏の追及を逃れることはできず、最終的には自害することになりました。現在、溝延城跡付近は溝延城址公園として整備され、その歴史を今に伝えています。

系図

溝延氏の系図は「天文本大江系図」「永正本大江系図」「安中坊所蔵各歴代」といった資料に残されています。

• - 始祖: 尊広
• - 2代: 孝満
• - 3代: 広継
• - 4代: 広勝
• - 5代: 孝政

この系譜は、溝延氏の歴史的背景やその流れを理解するために重要な資料となっています。

脚注・参考資料

• - 寒河江市史編さん委員会　『寒河江市史　上巻』、1994
• - 寒河江市史編さん委員会　『寒河江市史　大江氏ならびに関係史料』、2001
• - 宇井啓 『みちのく慈恩寺の歴史』、2013

関連項目

• - 大江氏

このように、溝延氏は寒河江大江氏の支流としての位置を確立し、その居城は重要な戦略的拠点として機能してきた歴史を持つ一族です。

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