滝井義高

滝井 義高

政治家であり医師でもあった滝井 義高（たきい よしたか）氏は、1915年（大正4年）2月25日に福岡県に生まれました。旧制明治中学校を経て東京慈恵会医科大学で学び、卒業後は医師として病院を開業するなど、当初は医療の道を歩みます。

しかし、地域社会への関心を深める中で政治の世界へと転じます。1947年（昭和22年）に田川市議会議員選挙に立候補し、初当選を果たしました。さらに1951年（昭和26年）には福岡県議会議員選挙でも当選し、地方政治での地盤を固めます。この間、日本社会党の結成に参加するとともに、地元の基幹産業であった筑豊炭田地域において、炭鉱労働者が直面する様々な社会問題や労働問題に深く関わり、その実情を熟知していきました。

国政での活躍

地方政治での経験を積んだ後、滝井氏は国政に挑戦します。1953年（昭和28年）に行われた第26回衆議院議員総選挙に日本社会党公認候補として立候補し、当選を果たしました。以降、衆議院議員として通算5期にわたり国会で活動します。社会党においては、国会対策副委員長や選挙対策委員長といった党の要職を歴任し、党勢拡大に尽力しました。また、専門分野である社会政策や労働政策に関する深い知識と経験を活かし、国会の場で活発な議論をリードする論客としても知られるようになります。

田川市長としての長期政権

国政から再び地方政治へと軸足を移したのは1979年（昭和54年）のことです。地元である田川市の市長選挙に社会党の推薦を受けて立候補し、当選しました。ここから滝井氏の田川市長としての長いキャリアが始まります。市長として連続6回の当選を重ね、実に24年間にもわたり田川市政のトップを務め上げました。その在任期間の長さから、特に晩年は全国の市長の中でも最高齢として注目を集めました。

滝井氏の政治姿勢は、特定の政党の枠にとらわれないものでした。その政治手腕と人柄は、保守層から革新層まで幅広い市民からの信頼を集め、「滝井党」と称されるほど強固な支持基盤を築いていました。これにより、長期にわたる安定した市政運営を可能にしたと言えるでしょう。2003年（平成15年）に市長を退任し、政界から引退しました。

晩年と逝去

政界引退後、滝井義高氏は2005年（平成17年）12月19日、脳梗塞のため90歳で生涯を閉じました。

医師として地域に貢献し、その後は市議、県議、衆議院議員、そして田川市長として四半世紀にわたり故郷の発展に尽くしたその足跡は、多くの人々の記憶に残っています。特に田川市長としての長期にわたる在任期間とその間の幅広い支持は、滝井氏の政治家としての力量と地域への深い根ざしを示すものと言えるでしょう。

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