滝本誠一

滝本 誠一（たきもと せいいち）

滝本誠一は、1857年11月13日に宇和島藩で生まれた日本の経済学者であり、経済思想史家として多大な貢献を果たしました。彼は江戸時代の経済思想史に強い影響を与え、特に労農派の思想の発展に寄与しました。彼の業績には日本経済史にとどまらず、ヨーロッパの経済史、経済学史にまで及ぶ研究があります。

経歴

彼の学びの場は、宇和島藩邸内にある藩校や不棄学校であり、ここで中上川彦次郎や渡辺恒吉などの指導を受けました。1881年に慶應義塾を卒業した後は、紀州藩の藩校で英語の教鞭を執りました。1890年代には『東京公論』の主筆を務め、さらに『神戸又新日報』や『東京朝日新聞』、そして『朝野新聞』の記者としても活動しました。1898年には自身の雑誌『明義』を発刊し、活発な出版活動を続けました。

1904年から1914年にかけて千葉県で開墾に従事し、1911年には京都帝国大学法科大学の嘱託としての職に就きます。1914年には同志社大学の教授となり、江戸時代の経済学体系を集成した『日本経済叢書』の編纂を行いました。1919年には同志社大学の教授を辞任し、慶應義塾大学に招かれて理財科の教授に着任します。彼は終生、経済史や経済思想史を教えながら、多くの学術的な貢献を果たしました。

年表

• - 1857年: 伊予宇和島藩伊達屋敷生まれる。
• - 1874年: 愛媛県宇和島郡立不棄学校に入学。
• - 1881年: 慶應義塾を卒業。
• - 1889年: 朝野新聞社に入社。
• - 1911年: 京都帝国大学法科大学の嘱託に赴任。
• - 1914年: 同志社大学の教授に就任。
• - 1915年: 大蔵省の嘱託に選任。
• - 1918年: 法学博士の学位取得。
• - 1919年: 同志社大学の教授を退任。
• - 1920年: 慶應義塾大学理財科（現・経済学部）の教授に就任。
• - 1929年: 慶應義塾大学文学部教授を兼任。

主な著書

滝本は多くの著作を執筆し、特に『経済帝国論』や『日本経済叢書』の編纂者として知られています。これらの著作は日本の経済思想を探る上で重要な資料とされています。その他にも『経済一家言』や『乞食袋』といった著作を残しました。

人物像

教授としての滝本は、純粋に慶應義塾出身ではなかったことから、教授会には出席しなかったというエピソードがあります。また、試験において参考書の持ち込みを許可したため、多くの学生に親しまれ、人気のあるゼミを持つことができました。立教大学への兼任も行っており、立教大学については非常に好意的に語っていました。彼は教授陣の問題や大学の発展に対して熱心に取り組んでいた姿勢がうかがえます。

滝本誠一は、1932年8月20日に亡くなるまで、日本の経済思想史における重要な学者として記憶されています。

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