漂砂鉱床

漂砂鉱床：比重の差で生まれる鉱物の宝庫

漂砂鉱床とは、水流によって運ばれた鉱物や岩石が、比重の違いによって選別され、特定の場所に濃集して形成された堆積鉱床です。河川や海岸線、かつての河川跡など、水の流れが関係する様々な場所で発見されます。スペイン語で沖積層を意味する言葉に由来するこの鉱床は、金などの貴金属をはじめ、様々なレアメタルを含むため、古くから人々の生活に深く関わってきました。カリフォルニア州のゴールドラッシュも、この漂砂鉱床の発見をきっかけに始まったことはよく知られています。

漂砂鉱床の種類と特徴

漂砂鉱床は、その形成場所や過程によって様々な種類に分類されます。代表的なものとして、以下の4種類が挙げられます。

沖積層： 河川や小川の堆積物中に形成される漂砂鉱床。河川のカーブの内側や、水の流れが緩やかになる場所などに、比重の大きい鉱物が集積します。金鉱脈の代表的な例です。
エルビアム堆積物： 詳細な説明は割愛しますが、特定の条件下で形成される漂砂鉱床の一種です。
ビーチ砂鉱： 海岸線に沿って堆積した砂や砂利の中に形成される漂砂鉱床。波の作用によって、比重の大きい鉱物が選別され、濃集します。
古水路： かつて存在した河川の跡に形成される漂砂鉱床。現在の河川から離れた場所に存在するため、発見が難しい場合があります。

漂砂鉱床に含まれる鉱物は、比重が大きく、風化に強いものが多く、石英よりも比重が高い鉱物が濃集しやすい傾向があります。そのため、金や白金族元素、チタン、ジルコニウムなどを含む鉱物が多く産出します。また、黒砂と呼ばれる、磁鉄鉱などを含む黒い砂の中に、モナザイト、ルチル、ジルコンなどの希少鉱物も含まれることがあります。これらの黒砂には、鉄やマンガン、スズなどを含む鉱物も含まれていることがあり、多様な鉱物を含む鉱床であることがわかります。

漂砂鉱床から産出する鉱物

漂砂鉱床からは、多様な鉱物が商業的に採掘されています。具体的には、以下のものが挙げられます。

貴金属： 金、白金族金属
宝石： ダイヤモンド、ルビー、サファイア、ガーネット
レアメタル： 希土類元素（モナザイトから）、トリウム（モナザイトから）、ジルコニウム（ジルコンから）、チタン（イルメナイト、ルチルから）、ウラン
鉄鉱石： マグネタイト
* スズ鉱石： スズ石

これらの鉱物は、比重が大きく、風化に強いという共通の特徴を持っています。

沖積漂砂鉱床の形成メカニズム

沖積漂砂鉱床は、河川や小川の流路変化や水流の減速によって形成されます。水の流れが速い時は、様々な大きさの岩石や鉱物が一緒に運ばれますが、流れが遅くなると、比重の大きい鉱物が先に堆積し始めます。特に河川のカーブの内側や、滝や障害物によって流れが淀む場所では、比重の大きい鉱物が効率的に濃集します。このプロセスによって、経済的に採掘可能なレベルまで鉱物が濃縮されます。

ビーチプレーサーの形成

海岸線に形成されるビーチプレーサーは、波の作用によって比重の大きい鉱物が海岸線に沿って濃集することで形成されます。波が砕ける際に、砂や砂利が移動し、比重の大きい鉱物が残されます。このプロセスは、長期間にわたって繰り返されることで、経済的に採掘可能な量の鉱物が堆積します。

根源岩と漂砂鉱床

漂砂鉱床を構成する鉱物の起源は、様々な種類の岩石にあります。例えば、ダイヤモンドはキンバーライトという深成岩から由来し、風化・浸食によって運搬され、漂砂鉱床を形成します。このように、漂砂鉱床は、母岩である根源岩からの風化・浸食、運搬、堆積という一連のプロセスを経て形成される、二次的な鉱床であると言えます。アフリカのウィットウォーターズランド盆地は、このような沖積ダイヤモンド鉱床として知られています。

まとめ

漂砂鉱床は、水流と比重差という自然の力を利用して形成される、重要な鉱物資源です。その成因や種類、産出鉱物を知ることで、より深く地球の成り立ちや資源の循環を理解することができます。今後も、漂砂鉱床の調査や研究は、資源開発や地球科学の発展に大きく貢献していくでしょう。

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