漂鳥

漂鳥とは

漂鳥（ひょうちょう）とは、季節に応じて繁殖地と越冬地を移動する鳥のことを指します。具体的には、夏は涼しい山地で繁殖し、冬は暖かい平地で越冬するといったように、日本国内で比較的短い距離を移動するのが特徴です。ウグイス、ヒヨドリ、ホオジロなどがその代表例として挙げられます。

渡り鳥との違い

漂鳥とよく比較されるのが渡り鳥です。渡り鳥は、シベリアから日本へ、あるいは日本から東南アジアへといったように、国境を越えて長距離を移動します。一方、漂鳥は日本国内での移動にとどまります。しかし、同じ種類の鳥でも、生息する地域によっては留鳥（一定の場所に留まって生活する鳥）となる場合もあります。例えば、ウグイスは地域によっては漂鳥、別の地域では留鳥として観察されることがあります。

漂鳥の実態

漂鳥に分類される鳥は多数存在すると考えられていますが、その生態はまだ十分に解明されていません。そのため、図鑑によっては「漂鳥」という用語を避けているものもあります。一般的には、夏は涼しい場所、冬は暖かい場所を求めて移動する鳥と理解されています。

漂鳥の定義に対する疑義

日本野鳥の会参与である安西英明氏は、漂鳥の定義に対して疑問を呈しています。安西氏は、図鑑で「漂鳥」を「国内の渡り」と定義することが多いものの、実際には鳥の移動経路は不明な点が多いと指摘しています。例えば、ウグイスがサハリンや中国大陸から飛来している可能性も否定できません。鳥の移動に関する研究はまだ始まったばかりであり、個体差や地域差も考慮する必要があるため、安易に定義づけることは危険だと述べています。

まとめ

漂鳥は、季節によって生息場所を移動する鳥であり、渡り鳥とは異なり、国内での移動が主です。しかし、その実態はまだ不明な点が多く、従来の定義に疑問を呈する研究者もいます。鳥の生態は複雑であり、今後のさらなる研究が求められます。

参考資料

叶内拓哉、安部直哉『山溪ハンディ図鑑7　日本の野鳥』（第2版）山と溪谷社、2006年10月1日。ISBN 4635070077。

関連項目

渡り鳥
留鳥
迷鳥
* 鳥類用語

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