漆間時国

漆間時国の生涯と家系

漆間時国（うるま ときくに）は平安時代後期、承徳2年（1098年）頃に生まれ、保延7年3月19日（1141年4月27日）に亡くなったとされる日本の武士です。彼は美作国の豪族であり、稲飯命の後裔と考えられています。また、官職としては左衛門尉を務めていたことでも知られています。

出自

漆間氏は古くから美作国に根付いた豪族で、代々にわたり地域の支配者としての地位を築いてきました。時国の父は漆間国弘または親国であり、その母についての記録は残っていません。時国の家系は、当時の武士社会の中で重要な役割を果たしていました。

生涯と業績

彼の生涯は、武士としての任務を遂行することに捧げられました。美作国で押領使として活躍し、地元の治安を維持する任務に従事していたと考えられます。長承2年（1133年）には、彼の息子である勢至丸が生まれ、その名は勢至菩薩のように知恵深い子供になることを期待して付けられました。勢至丸は学問と武芸に優れ、特に弓の腕前は抜群だったと伝えられています。

しかし、彼の人生は突然の悲劇によって終止符が打たれました。保延7年（1141年）、明石源内武者定明による夜襲が行われ、時国は重傷を負ったのです。この混乱の中、勢至丸は父の危機を察知し、定明に矢を放ちました。その矢は定明の顔面に命中し、彼は逃げ帰ることになりますが、時国は重傷のままでした。

時国は命の危機を感じながらも、息子に仇を討つことをやめるようにと諭しました。この時、法然に出家するように助言をしたという説も存在します。時国は同年の3月19日に息を引き取りました。彼の死後、戒名は「菩提院殿源誉時国西行大居士」となりました。

異説と後の影響

時国に関する異説も存在します。醍醐寺本の『法然上人伝記』によれば、法然が15歳になった久安3年（1147年）に、彼の父である時国は比叡山への登山を志す法然に対して、自身に敵がいるため登山後の安否を気にかけるようにと伝えたとされています。これによれば、時国の死は久安3年以降とされています。

彼の死後、多くの人物が時国の遺志を受け継いでいくことになります。著名な武士の一人、蓮生（熊谷直実）は、建久4年（1193年）に美作国を訪れ、漆間時国の旧宅に誕生寺を建立しました。このことから、法然の父である漆間時国が地元の人々に深く尊敬されていたことが伺えます。

系譜

• - 父: 漆間国弘あるいは親国
• - 母: 不詳
• - 妻: 秦氏（1111-1147）
• - 子: 法然（1133-1212）

このように見ていくと、漆間時国の人生は彼自身だけでなく、次世代の人物にも大きな影響を及ぼしました。時国の名は、美作国の歴史に刻まれた重要な存在です。

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