漢口大空襲

漢口大空襲概要

漢口大空襲は、1944年12月17日にアメリカ陸軍航空軍が日本の占領地域である漢口（現武漢市一部）に対して行った航空攻撃です。この攻撃によって、日本陸軍の防空戦闘機隊は壊滅的な損害を受け、市街地の約半分が焼失しました。この空襲は、アメリカ軍がB-29爆撃機を使用し、焼夷弾を用いた最初の大規模な都市爆撃であり、その後の日本本土での戦略攻撃における焼夷弾利用の参考となった。

背景

当時、中国戦線では日本軍が多くの都市を占領しており、漢口もその一つでした。1944年時点で、漢口は汪兆銘政権により統治されていました。アメリカは中国戦線を担当する第14空軍を編成し、対日航空作戦を活性化させつつありました。

1944年6月からは第20爆撃集団がB-29を用いた攻撃を開始しており、燃料の物資輸送が制約されていましたが、航空作戦は続けられました。その間、日本軍も航空戦力の維持に努めており、中国戦線での危機感から防空体制を強化しました。

兵站拠点漢口に対する攻撃計画

アメリカ陸軍の第20空軍は、漢口を日本軍の主要な兵站拠点として認識し、攻撃の重要性を訴えました。最終的に第20爆撃集団により延べ100機規模の空襲が命じられ、攻撃計画が具体化しました。

計画では、B-29による焼夷弾を使用した絨毯爆撃が初めて試みられました。実際の攻撃にあたっては、まず市街地のドックや物資集積所への攻撃が予定され、その後に周辺飛行場への攻撃が行われることになりました。攻撃日は12月15日から18日に変更され、最終的に94機のB-29が出撃することとなりました。

戦闘経過

1944年12月18日の午前中、B-29の第一波攻撃が実施されましたが、一部の編隊で誤った手順が取られた結果、民間区域に誤爆が発生しました。その後、日本側は防空戦闘機を出撃させ、B-29の迎撃を試みましたが、結果としてはB-29の損失を抑えることが難しい状況にありました。

午後には第14空軍からB-24爆撃機が追加で漢口に向けて攻撃を行い、激しい空中戦が展開されました。日本側の戦闘機は護衛機に阻まれ、攻撃の成功は限定的でした。この時、漢口市街では大火災が発生し、広範囲にわたって焼き尽くされる結果となりました。

結果と影響

漢口大空襲は、500トン以上の焼夷弾が投下され、目標地域の約40-50%が焼却されました。また、民間人も多数巻き込まれ、2万人以上が死亡し、6900戸以上の建物が被害を受けました。日本軍にとっても打撃が大きく、航空戦力は大幅に削減されました。

この空襲は、アメリカ軍が今後の空襲戦術を進化させる契機となり、焼夷弾による無差別爆撃の有効性を認識させる重要な事例とされました。アメリカ軍が日本本土に対する航空攻撃を行う際、その戦術において非常に影響を与えたと評価されています。

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