漫画少年
『漫画少年』(まんがしょうねん)は、日本の
漫画雑誌として
1947年12月から
1955年10月まで、学童社によって月刊で発行されました。この雑誌は、戦前の『少年倶楽部』の編集長だった加藤謙一が独立して設立した出版社から生まれ、全101号が出版されました。その内容は、漫画だけでなく、小説や詩といった読み物も充実していたことが特長です。
創刊の背景と方針
加藤謙一は戦後の
公職追放を経て、自らの出版社を作り出しました。『漫画少年』の創刊時には彼が編集長を務め、後に数人の編集長が交代しましたが、雑誌の基本方針は変わることなく維持されました。この雑誌は、
手塚治虫や
田河水泡、
島田啓三といった多くの著名な漫画家による連載があり、当時の漫画界において重要な地位を占めました。特に
手塚治虫の作品は大きな人気を博し、その影響力は多大でした。
投稿コーナーと漫画界への影響
創刊3号目からは漫画の投稿コーナーが設けられ、選ばれた作品が掲載されました。このコーナーは、
手塚治虫が投稿作品を講評するようになり、多くのアマチュア漫画家が夢を持って作品を送りました。加藤謙一の方針によって、この誌面はアマチュア漫画家同士の交流の場にもなり、東日本漫画同好会などの結成を促しました。この流れは後の『COM』につながる重要な要素となりました。
人気のピークとその後
1950年から1954年にかけては、
手塚治虫の『
ジャングル大帝』が連載されていた時期が雑誌の人気のピークであり、多くの読者を引きつけました。しかし、その後は他の漫画誌の競争が激化し、人気が下降していきました。漫画に対する悪書追放運動も影響を及ぼし、連載作家が離脱する事態が発生しました。最終的には、
1955年に学童社が倒産し、『漫画少年』は廃刊に至りました。
文化への影響
晩年の
手塚治虫は、『漫画少年』が戦前の漫画が持っていた質の高いアカデミックさを受け継いでいたと評価しました。この流れは
トキワ荘グループの漫画家たちにも影響を与え、彼らの後の活動における基盤となりました。
1981年には、
寺田ヒロオが『漫画少年』をテーマにした書籍を出版し、その歴史を振り返る場が設けられました。
創刊のことば
「漫画少年」の創刊号には、漫画の楽しさや意義を表現した言葉がありました。子供たちの心を明るくするために、漫画は重要な役割を果たすと謳われています。この思想は、雑誌のすべての連載や掲載作品に色濃く反映されていました。
結論
『漫画少年』は、単なる
漫画雑誌を超えた存在であり、日本の漫画文化の形成に寄与した重要なメディアでした。その影響は、今もなお後の世代に受け継がれています。