漲水御嶽

漲水御嶽（はりみずうたき）

漲水御嶽（はりみずうたき、宮古方言：ぴゃるみずうたき）は、沖縄県宮古島市平良字西里に位置する御嶽であり、地元では「ツカサヤー」とも呼ばれています。

概要

漲水御嶽は、古意角（コイツノ）と姑依玉（コイタマ）の男女二神を祀る神聖な場所です。琉球王国が成立する以前の1429年以前から信仰を集めており、宮古島の創生神話をはじめとする多くの神話や伝説の舞台となっています。この御嶽は、宮古島の歴史と文化を語る上で、非常に重要な場所です。

由来、伝説

創世神話

宮古島が誕生した後、天から古意角（恋角）という神と姑依玉（恋玉）という女神が、多くの神々を従えて漲水に降臨したと伝えられています。彼らは人間や天地の万物を創造した後、天に戻りました。人々は御嶽を建立し、神々を祀り、島は繁栄したとされています。

人蛇婚伝説

平良の住居に住む貴人の夫婦には子供がいませんでした。夫婦が子宝を願って祈ったところ、美しい娘を授かりました。娘が若くして妊娠したため、両親が理由を尋ねると、毎晩若い男が娘の寝室に訪れていたと答えました。父親が男の居場所を突き止めると、それは漲水のイベ（御嶽の中心部）の洞窟に住む大蛇でした。

その晩、身ごもった娘の夢枕に大蛇が現れました。大蛇は自らを古意角、島立の神と名乗り、島の守り神を造るために娘の元へ来たと言いました。大蛇は娘に三人の娘を産ませ、三歳になったら御嶽に連れてくるよう告げました。娘は大蛇の言葉通りに三人の娘を産みましたが、子供たちが三歳になると大蛇を恐れて逃げ帰ってしまいました。しかし、子供たちは大蛇を恐れることなく、それぞれ大蛇の首、胴、尾に抱きつきました。大蛇は涙を流して喜び、子供たちを島の守り神に変えて御嶽の中に姿を消しました。大蛇（古意角）は光を放ちながら天に昇っていったと伝えられています。

書誌

18世紀中頃に編纂された『宮古島記事仕次』には、古意角が天帝に地上の守護神となることを願い出たところ、天帝はこれを祝福し、天の岩戸の先端を折って大海に投げ入れ、宮古島を造ったと記述されています。その後、古意角は女神である姑依玉を伴い、現在の御嶽がある場所に降臨し、多くの神々を生み育て、人々の繁栄をもたらしたと記されています。

沿革

『忠導氏本宗家譜』によると、御嶽の南側の石垣は、1500年のオヤケアカハチの乱の際、仲宗根豊見親が神霊の加護を祈願し、オヤケアカハチを討伐した後に築いたとされています。また、2017年12月2日には、老朽化した鳥居が建て替えられ、落成式が行われました。

文化財

漲水御嶽と石垣は、1974年（昭和49年）8月29日に宮古島市史跡に指定されました。また、漲水石畳道も同日に宮古島市史跡に指定されています。これらの文化財は、御嶽の歴史的価値を示すだけでなく、宮古島の歴史と文化を伝える重要な存在となっています。

脚注

### 参考文献
『先島諸島の地理・民俗・歴史―宮古諸島と八重山諸島―』今林直樹（2015）

### 関連項目

琉球神道 - 琉球における信仰

### 外部リンク
* 市指定：史跡】漲水御嶽と石垣～はりみずうたきといしがき～ 綾道（宮古島市教育委員会公認歴史文化観光ロードアプリサイト）

漲水御嶽は、宮古島の歴史と文化を深く理解するための重要な場所であり、訪れる人々に神聖な雰囲気と歴史的な景観を提供しています。

もう一度検索