潘庭堅

潘庭堅（はん ていけん）は、元末から明初の激動期を生きた官僚であり、儒学者としても知られています。字は叔聞といい、本貫は太平州当塗県にありました。彼の正確な生没年は記録に残されていません。

生涯

潘庭堅は、元朝末期に富陽教諭の職を打診されましたが、これを辞退し、地方で学問に励んでいました。1355年、朱元璋が太平を拠点とした際、陶安の推薦により召し出され、朱元璋の幕府で教授として仕えることになりました。彼の謙虚で慎み深い態度は、朱元璋の心を捉え、高く評価されたと言われています。

1356年、朱元璋が南京（集慶）を占領すると、潘庭堅はその才能を認められ、中書省博士に抜擢されました。1358年には、婺州が平定され金華府と改められると、同知金華府事に任命され、地方行政に手腕を発揮しました。当時、長江流域の諸州が次々と平定される中で、占領地の安定を図るために儒臣が重用されており、陶安や汪広洋が江西で、潘庭堅と王愷が浙東で、それぞれその任を担いました。この時期の彼の行政手腕は、後の明朝建国に大きく貢献したと考えられます。

1367年、翰林院が設けられると、潘庭堅は陶安と共に翰林学士に任命されました。しかし、彼は高齢を理由に故郷へ帰ることを願い出ます。それでも、1371年、洪武帝（朱元璋）の強い要請により再び南京へ赴き、会試（科挙の試験）を主宰するという重要な役割を果たしました。このことから、彼の学識と能力が、明朝の初期における人材登用に不可欠であったことが伺えます。

子女

潘庭堅の子である潘黼（はん ほ）もまた、父に劣らず文才に恵まれました。字を章甫といい、官職は江西按察使にまで上り詰めました。彼は律令の修定にも携わり、議律官としてその才能を発揮しました。父子ともに、学問と政治の両面で才能を発揮したことは、特筆に値します。

参考文献

潘庭堅に関する記述は、『明史』巻135 列伝第23に詳しい情報が掲載されています。

潘庭堅は、激動の時代を生き抜き、その才能を遺憾なく発揮した人物です。彼の存在は、明朝初期の政治と文化に大きな影響を与えたと言えるでしょう。

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