激殺! 邪道拳

激殺! 邪道拳

『激殺! 邪道拳』（げきさつ! じゃどうけん）は、1977年に制作された日香泰合作のアクション映画です。本作は、千葉真一が企画および主演を務めており、監督は野田幸男と陳銅民が担当しました。全94分のカラー・シネマスコープ作品で、ストーリーは格闘家が師匠の仇を討つために奮闘する様子を描いています。

プロット概要

物語の主人公である無音笛は、バンコクの武闘家、陳坤漢に育てられ、空手を修練してきました。しかし、彼が父のように慕っていた陳が、高弟のサムアンによって命を奪われてしまいます。この復讐に燃える無音笛はサムアンに立ち向かうも、壮絶な戦いの中で重傷を負ってしまいます。意識を失った彼を救ったのは、中国人の父を持つタイ人の女性梨花です。彼女の神秘的な笛の音と電気治療によって無音笛は奇跡的に回復し、再び戦う決意を固めます。彼はサムアンやその背後に潜む麻薬シンジケートを一掃するため、次々と襲いかかる刺客たちと壮絶な戦闘を繰り広げていきます。

アクションと撮影

『激殺! 邪道拳』は、リアルな格闘シーンで高く評価されています。千葉真一は、ムエタイ戦士や猿拳を使う刺客たちとの戦闘シーンを、実際の殴打や蹴りを使って表現し、特にワンカットで撮影された部分が話題となりました。この手法は、当時CG技術が存在しなかったため、リアルな戦闘感を生むための創意工夫に基づくものです。また、主人公が電流を全身に流してトレーニングをし、反射神経を鍛えるシーンも見どころとなっています。

キャストとスタッフ

本作には思い入れのあるキャストが多数参加しています。主要な脇役には、志穂美悦子が主人公に空手を教えるタイの王女を演じており、麻薬シンジケートの用心棒役にはヤン・スエが配役されています。さらに、麻薬取締官には山下タダシが、敵役には擬斗を担当する鹿村泰祥がキャスティングされています。また、主人公を慕う少年には陳銅民の長男、陳可辛が出演しています。

ロケーションと国際的な盛り上がり

本作の撮影は主にタイで行われました。バンコクのチャオプラヤー川やセーンセープ運河、パッタヤーなどで、約2か月間にわたる悪戦苦闘の末に完成されました。千葉真一は、かつてテレビドラマ『キイハンター』がタイで放映されていたため、タイ国内で非常に注目されていました。映画の公開時、字幕が付加されたほか、日本やアメリカ合衆国ではそれぞれの言語に吹き替えされたものが上映され、声優はクレジットされていません。

評価と影響

『激殺! 邪道拳』は公開後、国際的な評価を受け、多くの映画祭でリバイバル上映もされました。1991年にはロサンゼルス、また2004年にはフィンランドのNight Visions Film Festivalでの再上映が行われました。このように、本作は日本国内外で多くのファンに愛される作品となり、アクション映画のひとつの金字塔となりました。

もう一度検索