激闘スタジアム!!

『激闘スタジアム!!』は、日本のゲームメーカーであるテクモ（現在のコーエーテクモゲームス）が開発し、1989年 12月15日にファミリーコンピュータ向けに発売された野球ゲームソフトです。翌年には『Bad News Baseball』というタイトルで北米市場にも展開されました。

概要

本作は、同年にリリースされたプロレスゲーム『激闘プロレス!! 闘魂伝説』に続く、テクモの「激闘」シリーズ第2弾にあたるスポーツタイトルです。当時のファミリーコンピュータにおける野球ゲームとしては、先行する他社作品、例えばナムコの『プロ野球ファミリースタジアム』やタイトーの『究極ハリキリスタジアム』と基本的な操作感は共通していました。

しかし、『激闘スタジアム!!』はいくつかの独自のシステムを導入しており、これが本作の大きな特徴となっています。特に注目すべき点は、コントローラーのBボタンを押しながら操作することで、選手がジャンプしたりダイビングキャッチを試みたりといった、アクロバティックなファインプレーを繰り出せるようになった点です。また、捕手、一塁手、二塁手、三塁手、遊撃手、外野手といった守備ポジションごとに、選手個別の守備能力や、塁間あるいは本塁への送球における「肩の強さ」といったパラメータが設定されていたことも、当時の家庭用野球ゲームとしては先駆的な要素と言えます。これらの要素により、単なる打撃戦だけでなく、守備における駆け引きや個性の表現が深められていました。

ゲーム内容

ゲームモード

本作では、プレイヤーの好みに合わせて様々な形式で試合を楽しむことが可能です。一人で遊びたい場合は、総当たり戦で他の11球団全てと対戦し、リーグ優勝を目指す「1P ト〜ナメント」モードが用意されています。トーナメントの途中経過は、パスワード機能を利用して次回プレイ時に続きから再開できます。

「2P たいせん」モードを選べば、友達や家族と直接対決する熱い試合が楽しめます。プロ野球の祭典であるオールスター戦を再現できる「ALLSTARS」モードでは、1人対コンピュータまたは2人対戦で、リーグを代表する選手たちによる夢の対決が実現します。また、プレイヤーが操作に介入せず、コンピュータ同士の試合展開をじっくりと眺められる「かんせん」モードも搭載されており、野球ファンだけでなく、ゲームシステムの研究など様々な楽しみ方ができました。

球団

『激闘スタジアム!!』の大きな特徴の一つに、バラエティ豊かな登場球団があります。本作には、通常プレイで選択できる「表モード」と、特定のコマンドを入力して出現させる「裏モード」があり、それぞれ12球団ずつ、合計24球団が登場します。ただし、表モードと裏モードのチーム同士は対戦することができない仕様になっています。

表モード

表モードの球団は、当時の日本プロ野球のセントラル・リーグとパシフィック・リーグをモデルとしており、それぞれ「せるりあんり〜ぐ」「ぱ〜ぷるり〜ぐ」という名称になっています。球団名や選手名は、実在の球団や選手をモチーフにしたユニークなパロディが特徴です。

せるりあんり〜ぐ
D：どっぐす（中日ドラゴンズ）
G：ぎがんつ（読売ジャイアンツ）
C：きゃっつ（広島東洋カープ）
W：ういんぐす（横浜大洋ホエールズ）
S：すかいや〜ず（ヤクルトスワローズ）
T：とる〜ぱ〜ず（阪神タイガース）
ぱ〜ぷるり〜ぐ
L：らいな〜ず（西武ライオンズ）
Bu：ばんぱ〜ず（近鉄バファローズ）
F：ふぃ〜ば〜ず（日本ハムファイターズ）
B：ぶる〜ざ〜す（オリックス・ブレーブス）
H：ほ〜ま〜ず（福岡ダイエーホークス）
O：お〜びっつ（ロッテオリオンズ）

裏モード

裏モードは、1P用コントローラの十字キーを左下、2P用コントローラの十字キーを左上に入れたままリセットすることで出現します。通常はボールの形をしたカーソルがハートマークに変化するのが目印です。裏モードでは、登場する選手が全員ソフトボール風のユニフォームを着た女性選手となり、チームや選手のデータも表モードから一新されます。非常にユニークなチーム構成が特徴です。

こ〜ひ〜ぜり〜り〜ぐ
D：どるふぃんず
G：ぐらまぁ〜ず
C：きゃんでぃす
W：ういんくす - 一部に有名人を含む外国人女性の名前で構成されたチーム。
S：せ〜ら〜ず
T：てくもきゃらず - テクモ作品のキャラクターを集めたオールスターチーム。『キャプテン翼』や『つっぱり大相撲』からの登場が多く、選手の大半は男性名です。
ぷりんり〜ぐ
L：らぶり〜ず - 全ての選手名がひらがな2文字で統一されたチーム。
Bu：ばにぃず
F：ふぇあり〜ず
B：べぃびぃず
H：ひろいんず
O：おたっきぃず - アニメのヒロインらしき名前の選手で固められたチーム。

評価

本作は、当時のゲーム雑誌でもレビューが行われています。『ファミコン通信』のクロスレビューでは40点満点中25点という評価を得ました。『ファミリーコンピュータMagazine』の読者投票企画「ゲーム通信簿」では、30点満点中18.60点となっています。同誌の1991年5月10日号の付録「ファミコンロムカセットオールカタログ」では、「何といってもこのゲームはホームランですよ。あの爽快感がたまらない」といった、ホームランの演出や爽快感に対する肯定的なコメントや、「プレイ中に現れるアニメやグラフィックが一層試合を盛り上げてくれる」といった、試合中の演出やグラフィックがゲーム体験を高めている点を評価する声が紹介されていました。

『激闘スタジアム!!』は、当時の野球ゲームのスタンダードを踏襲しつつも、独自の守備アクションや選手能力設定、そして特にユニークな裏モードの存在により、他の野球ゲームとは一線を画す個性的な作品として記憶されています。

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