濁川 (長野県)

濁川（にごりがわ）

概要

濁川は、長野県東信地方を流れる一級河川で、信濃川水系に属しています。その源流は、浅間山の南に位置する石尊山の東側、標高1,500メートル付近にあります。そこから南南西方向に直線的に流れ、御代田町を経由し、佐久市塚原で西に流れを変え、最終的に塩名田で千曲川（信濃川の長野県内での呼称）に合流します。全長は約17キロメートルです。

特徴

川の名前が示すように、濁川は常に濁った水が流れているのが特徴です。これは、源泉から湧き出る水に硫化水素が多く含まれているためです。湧き出した直後は澄んでいますが、硫化鉄や遊離炭酸の影響で、すぐに褐色に濁ります。特に、源泉から標高1,000メートルまでの間では、川底に赤褐色の沈殿物が厚く堆積しています。

上流部では、褐鉄鉱（高師小僧）が採取できる場所もあります。この源泉の成分と火山活動との関連性について、1965年から研究が進められていますが、まだ解明されていない部分が多いです。一説には、石尊山に直接付随する地下水が源であるとも言われています。

源泉近くには、褐色の水を湛える「血の池」や「おはぐろ池」と呼ばれる場所があります。さらに下流には、落差9メートルの「血の滝」（または「赤滝」）という滝があります。これらの場所は、地図上では軽井沢町に位置するように見えますが、実際には下流で濁川の水を利用する御代田町の飛地となっています。

水質の変化

濁川は、流れるにつれて支流や地下水が合流し、軽井沢町を過ぎて御代田町に入ると水量が増加します。水の色も、やや黄白色に変化します。御代田町の清万（標高940メートル）付近では、プラナリアやカワゲラといった水生生物が生息しており、水質は比較的良好です。しかし、下流の佐久市に近づくにつれて、家庭からの雑排水が流れ込むようになり、水質汚濁が進みます。御代田町の小田井（標高770メートル）では、水の色が黒みがかった黄白色になり、ヒルやミズムシなどの生物も見られるようになります。

利用

濁川の水は、しなの鉄道線の線路をくぐった後、分水され、御代田町や佐久市に広がる農地の灌漑用水として利用されています。流域の農家にとって、重要な水源となっています。ただし、濁川の水だけでは広大な農地を潤すには不足するため、江戸時代の慶安年間には、千ヶ滝を水源とする用水路からも水の供給を受けています。

その他

濁川は、その特異な水質と周辺の景観から、多くの人々にとって関心の対象となっています。

参考文献

日外アソシエーツ編集発行『河川大事典』1991年。
北佐久郡志編纂会編纂発行『北佐久郡志 第一巻 自然篇』1956年。
御代田町誌編纂委員会編纂『御代田町誌 自然編』御代田町誌刊行会、1995年。
『日本歴史地名大系 第20巻 長野県の地名』平凡社、1979年。

関連項目

血の滝 - 南極大陸にある滝。
赤滝・血の池 - 曖昧さ回避。
蛇堀川 - 濁川と同様に浅間山系に発し、褐色の水が流れる。

外部リンク

長野県公式観光ウェブサイト さわやか信州旅.net 血の池 - 赤滝
* 長野県トレッキング協会 信州山岳クラブ 石尊山

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