瀧口修造

瀧口修造 - 近代日本を代表する美術評論家

瀧口修造（たきぐち しゅうぞう）は、1903年に富山県婦負郡寒江村で生まれ、美術評論家、詩人、画家として名を馳せました。彼は、日本におけるシュルレアリスムの中核を成し、その活動は戦前から戦後にかけて多岐にわたりました。特に彼のシュルレアリスムへの貢献は計り知れず、日本の美術界において重要な地位を築いた人物です。

生い立ちと教育

修造は医者の家系に生まれましたが、幼少期から学校が苦手であったため、医師という家業を継ぐことには無関心でした。小学5年生のとき、父親の勤務先で手術見学をした際に、医者にはなりたくないと感じるようになります。しかし、彼の父は数日後に急死し、この出来事は修造の人生に大きな影響を与えました。

1921年に富山中学校を卒業後、上京して医学部受験を目指しましたが、母親の死を契機に進路が変更され、文学への興味が芽生えました。慶應義塾大学に進学しますが、学業よりも図書館で文学を読む日々を送ります。関東大震災を経験した後、大学を退学し、文学の道を追求することを決意しました。

シュルレアリスムとの出会い

1926年、同人誌『山繭』に参加し、友人の永井龍男らと共に詩作に励むようになります。彼は西脇順三郎に師事して西洋のモダニズム詩を学び、シュルレアリスムに触れることでその影響を受けました。特に、アルチュール・ランボーやアンドレ・ブルトンの作品は、彼の詩作に大きな変化をもたらしました。1928年には詩編「地球創造説」を発表し、その内容は同人間での話題を呼ぶこととなります。

画壇との交流と活動

1930年には、アンドレ・ブルトンの著作を翻訳し、日本におけるシュルレアリスムの先駆けとなる文献を提供しました。この作業によって、美術界における瀧口の権威が確立され、彼の名声は次第に広がっていきました。画壇との関わりを深め、エルンストやミロの作品を初めて目にしたのもこの時期です。

1936年にはアヴァンギャルド芸術家クラブを結成し、戦中の困難な時期にもかかわらず、活動を続けました。しかし、1941年には治安維持法違反で逮捕され、その後の活動に困難が生じます。

戦後の活動と晩年

戦後の修造は主に評論家としての活動に専念します。彼は実験工房を主宰し、数多くの美術評論を執筆しました。また、国際文化振興会の嘱託としても活動し、国内外のアーティストとの交流を深めました。

1950年代には、日本アヴァンギャルド美術家クラブを設立し、若手作家に発表の場を提供しました。タケミヤ画廊では多くの展覧会が開催され、彼の活動は多くの芸術家に影響を与えることとなりました。

1979年、修造は心筋梗塞により75歳で亡くなりました。彼の持っていた美術資料は、多摩美術大学に所蔵され、彼の遺した作品や文献は今もなお多くの人々に影響を与え続けています。修造の業績に対する評価は非常に高く、彼が日本の芸術界にもたらした多大な貢献は、今日の美術の発展に欠かせない要素となっています。

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