瀧澤孝

瀧澤孝：激動のヤクザ人生

瀧澤孝（たきざわ たかし）は、1937年7月20日に生まれ、2018年5月9日にこの世を去った、日本のヤクザです。静岡県浜松市に拠点を置く暴力団・芳菱会の総長としてその名を知られ、同時に、指定暴力団山口組においても重要な役職を歴任しました。彼の生涯は、激動のヤクザ社会における組織運営、そして法廷での闘争に彩られています。

生い立ちとヤクザの世界へ

瀧澤孝は、幕末から続く國領屋下垂一家（三代目山口組地道組傘下）の8代目総長、瀧澤仁志の弟として生まれました。自身も同一家で若頭を務め、兄弟でヤクザの世界を歩みました。1969年に地道組の組長が死去し、地道組が解散した後、兄の仁志は1971年に三代目山口組の直参に昇格しました。これにより、瀧澤兄弟は山口組の中枢へと足を踏み入れることになります。

山口組での重役

1981年に山口組組長が死去すると、後継者争いが勃発。混乱の中、1984年に兄の仁志が引退し、その跡を継いで瀧澤孝は國領屋下垂一家9代目総長として山口組の直参となりました。五代目山口組体制発足と同時に若頭補佐に就任。六代目体制発足後も同役を継続し、山口組執行部の一員として組織運営に携わりました。この間、國領屋下垂一家は「芳菱会」と改名されています。2008年11月20日には、持病の肝硬変の治療に専念するため、若頭補佐を退任し、顧問・組長代行に就任しました。同時に、長年務めていた関東ブロック長も退任しています。

法廷闘争

瀧澤孝は、山口組組長の司忍と同様に、1997年に起きた傘下構成員の拳銃所持事件に関連し、共謀共同正犯の罪に問われました。2001年に逮捕・起訴され、一審、二審ともに無罪を勝ち取りましたが、検察側の上告により最高裁にまで持ち込まれました。最高裁はこの上告を認め、大阪地裁に審理を差し戻しました。2011年に大阪地裁で再び無罪判決が出ましたが、二度目の二審である大阪高裁は「地裁判決には明らかな事実誤認がある」として、再度地裁に差し戻しました。2015年には最高裁で上告が棄却され、再び大阪地裁での審理となりました。

晩年と死

2017年3月、大阪地裁は二度目の差し戻し審で懲役6年の有罪判決を言い渡しました。瀧澤孝は控訴しましたが、控訴審判決を待たずして、2018年5月9日に病気のため死去しました。これにより、法廷闘争は終結しました。彼の死は、ヤクザ社会における組織運営と、法廷での闘争の両面で、波乱に満ちた彼の人生の幕を閉じました。瀧澤孝は、ヤクザ組織の幹部として、そして一人の人間として、その生涯を通して様々な困難に立ち向かい、激動の時代を生き抜いた人物として記憶されるでしょう。

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