瀬山詠子

瀬山 詠子（せやま えいこ）

概要

瀬山詠子は1930年に生まれた日本の声楽家であり、音楽教育者でもあります。東京藝術大学の名誉教授として知られ、二期会のメンバーとしても活動しています。彼女は特にソプラノの分野で有名で、数多くのリサイタルとオペラに出演し、その存在感を示しています。

経歴

歌手活動

瀬山は東京藝術大学を卒業し、畑中良輔や畑中更予に師事しました。彼女は1956年にモーツァルトの『フィガロの結婚』でケルビーノ役を演じることでデビュー。その後、1959年には初のリサイタルを開催し、以降、多くのリサイタルを行いました。オペラでは、ヒンデミットの『ロング・クリスマスディナー』のルーシィや、また『フィガロの結婚』の伯爵夫人、カール・オルフの『賢い女』などさまざまな役を演じてきました。彼女のオペラ出演記録は昭和音楽大学オペラ情報センターのデータに29件以上残っています。さらに、リートや日本歌曲の普及にも尽力し、特に現代音楽の演奏においては三善晃や石桁真礼生、池内友次郎などの作品を通じて、その分野で重要な存在となっています。

1975年度文化庁芸術祭では石桁眞禮生の歌曲によるリサイタルで優秀賞を受賞し、1991年と1994年には三善晃とのリサイタルを行い、名演奏として高く評価されました。1997年には東京藝術大学の退官記念リサイタル、2003年には石桁の作品をテーマにしたリサイタルが絶賛を受けました。2010年には80歳を祝うリサイタルも開催しています。

音楽教育者としての活動

瀬山は教育者として非常に熱心で、彼女の弟子たちによる「詠の会」が設立されています。この会は、文化庁の後援により2015年に特別演奏会を開催し、弟子たちの活躍を見せる機会となりました。彼女の教えを受けた学生たちには、現代の優れた声楽家や音楽家が多数含まれています。瀬山は東京藝術大学で「日本歌曲ゼミナール」を始め、日本歌曲の正しい歌唱についての指導を行いました。定年退官を迎えても、このセミナーは続けられ、厳しいレッスンが行われています。

彼女の教育方法は非常に厳格であり、木下牧子はそのレッスンを聴講した際、「泣いてしまうかもしれない」と語るほどです。また、大分県立芸術文化短期大学や国立音楽大学においても公開レッスンを行い、声楽界の指導者としての役割を果たしています。

受賞歴

彼女の多彩な活動は高く評価されており、数々の賞を受賞しています。中西賞、文化庁芸術祭賞、京都音楽賞、紫綬褒章、朝日現代音楽賞、勲四等宝冠章などの栄誉があります。

音楽活動

瀬山詠子は審査員としても多くの音楽イベントに関与しており、これまでに様々なオーディションやコンクールでの審査を務めています。特に、ハーモニーホールふくいでの新人演奏会の審査員として、音楽界への貢献を続けてきました。

ディスコグラフィー

ソロでの音源も多く、いくつかの日本歌曲集や三善晃の作品を含むリサイタルCDをリリースしています。例えば、『三善晃歌曲集』や『日本の歌曲全集』などがあります。これらの作品は、彼女の音楽的なコンセプトと優れた技術を維持し続けています。

エピソード

彼女には恩師である畑中良輔から付けられた「トルコ」というニックネームがあり、畑中の葬儀ではその名前で別れの言葉を述べるなど、深い絆があったことが伝えられています。

まとめ

瀬山詠子は、声楽家として、また教育者として、日本の音楽界に多大な影響を与えている重要な人物であり、今日もその活動を続けています。彼女の功績は今後の音楽教育や歌手の育成においても、重要な基盤となることでしょう。

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