瀬戸電気鉄道テ1形電車

瀬戸電気鉄道テ1形電車の詳細

瀬戸電気鉄道テ1形電車は、1906年から1920年にかけて製造された木造の二軸単車です。この電車は、瀬戸電気鉄道がその電化開業に合わせて新たに投入したもので、合計で32両が製造されました。テ1形の特筆すべき点は、全ての車両が系列番号に基づいて区分されている点であり、付随車は「VS」というプレフィックスが付与されています。

テ1形電車は、過去の時代の路面電車の特徴を色濃く受け継いでおり、木造オープンデッキ構造のデザインが大正から昭和初期にかけて見られる一般的なものでした。主要機器にはゼネラル・エレクトリック社製のものが搭載され、直接制御方式を採用。唯一の制動手段はハンドブレーキであり、ポールを用いた集電方式を採っていました。また、全車両の台車にはブリル21-Eという統一仕様が採用されていました。

各グループの製造年次と進展

電化開業当初の車両

1906年10月に製造されたテ1とテ2は、日本車輌製造の手により新たに作られました。特徴的な木造ダブルルーフの車体と、V22222Vの窓配置を持ち、主電動機は2基の37PSでした。しかし、合併以前に廃車となり、名鉄には引き継がれませんでした。

明治41年製の増備車（名鉄サ10形）

1908年に製造されたテ3およびテ4は、自社工場で新造されました。これらは前述のテ1、テ2と同じ仕様ですが、定員が37人から42人に増加しました。1921年には電装解除され、付随車のシ3、4に改造されました。後にサ10形として改番されましたが、最終的に戦災により廃車となりました。

明治41年製の付随車（名鉄サ20形）

同時期に製造されたこのグループは、運転台のない純粋な付随車であり、定員はテ1、2と同じ37人でした。1910年には御召列車用に改装され、その後1941年の改番でサ20形に改称されました。最終的に廃車となったのは1956年です。

明治43年製の増備車

1910年から1912年の間に製造されたこのグループは、窓配置の変更や屋根の構造が違う点が特徴です。合併前にすでに廃車となり、名鉄には引き継がれませんでした。

大正元年製の増備車（名鉄モ70形）

1912年から1913年にかけて製造されたテ13から22は、前照灯が追加されました。1941年の改番でモ10形に改称され、後に岐阜市内線へ転属されました。最終的に1963年に全車両が廃車となりました。

大正8年製の増備車（名鉄モ20形）

1919年に製造されたテ23から27は、特に外観が京都市電に似ている点が挙げられます。本グループは1941年に改番され、岐阜市内線に転属後、1960年から1963年にかけて廃車となりました。

大正9年製の増備車（名鉄モ30形）

1920年に製造されたテ28から32は、主電動機の出力が50PSに強化されました。全車岐阜市内線に転属後、1967年に営業運転を終了し、同月に全車両が廃車となりました。

主要諸元

• - 全長：8,308mm
• - 全幅：2,194mm
• - 全高：3,647mm
• - 自重：6.1t
• - 定員：40人（うち座席14人）
• - 電気方式：直流600V
• - 台車：ブリル21-E
• - 主電動機：40PS×2基

このように、瀬戸電気鉄道テ1形電車は、製造年代により様々な仕様変更や名称変更を経験しながら、日本の鉄道の歴史に一翼を担った重要な車両でした。

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