瀬畑奈津子

瀬畑奈津子 - 多くの作品に彩りを添えたベテラン声優

1946年3月20日生まれ、2020年3月14日に亡くなった瀬畑奈津子さんは、日本の声優業界において長年にわたり活躍した女性声優です。東京都台東区浅草のご出身で、本名は瀬畑三枝子。夫は俳優の和田周さん、息子は脚本家の虚淵玄さんと、芸術一家に囲まれて過ごしました。

劇団から声優へ

瀬畑さんは文学座付属演劇研究所4期生として研鑽を積み、劇団俳優小劇場、劇団俳小に所属していました。その後、1980年には演劇組織「夜の樹」を結成。幅広い表現活動を通じて舞台人としての経験を積んだのち、声優としてのキャリアを本格的にスタートさせます。2009年11月までぷろだくしょんバオバブに所属していました。

多彩な才能と豊かな経験

瀬畑さんは声優としての活動以外に、多彩な才能を持っていました。普通自動車免許に加え、日本舞踊（西川流名取）やギターの弾き語り（ラテン、シャンソンなど）を特技としており、趣味はソーイング、クッキング、山歩きと多岐に渡ります。東京下町育ちの彼女は、その経験が培った東京下町言葉も持ち合わせていました。

また、彼女の家族には著名な人物が多数含まれていました。義祖父は鉱物学者で政治家の和田維四郎氏、岳父は作家の大坪砂男氏という、文化・学術界に足跡を残した方々と親戚関係にあったのです。こうした環境が、彼女の豊かな人間性と表現力の幅広さに繋がったのかもしれません。

アニメから吹き替えまで幅広く活躍

瀬畑さんの声優としての活動は実に多岐に渡ります。テレビアニメでは、『光の伝説』（1986年）、『コボちゃん』（1993年）、『明日のナージャ』（2003年）、『魔探偵ロキ RAGNAROK』（2003年）、『火の鳥』（2004年）、『MONSTER』（2005年）、『名探偵コナン』（2006年）、『レ・ミゼラブル 少女コゼット』（2007年）など、数多くの作品に出演。OVA作品にも『銀河英雄伝説』（1996年）などに参加しています。

吹き替えでは、ハリウッド映画を中心に活躍しました。『アメリカン・プレジデント』、『アンナ・カレーニナ』、『ウェイクアップ!ネッド』、『ウェルカム!ヘヴン』など、数多くの有名作品で重要な役柄を演じました。その他にも『L.A.ロー 七人の弁護士』、『ザ・ソプラノズ 哀愁のマフィア』、『X-ファイル』、『ザ・プラクティス ボストン弁護士ファイル』など、ドラマ作品での吹き替えも数多く手掛けています。その演技力は、多くの視聴者から高い評価を受けていました。アニメの吹き替えでは『ザ・シンプソンズ』などにも参加しています。

記憶に残る数々の声

瀬畑奈津子さんは、その豊かな表現力と確かな演技力で、様々なキャラクターや人物像を生き生きと演じ分けてきました。彼女の温かく優しい声、時には力強く、時には繊細な表現力は、多くの視聴者の心に深く刻まれています。数多くの作品に出演した彼女の声は、これからも多くの人々の記憶に残ることでしょう。彼女の活躍は、声優業界に大きな足跡を残しました。

もう一度検索