灘蓮照

灘蓮照九段：豪胆な棋風と卓越した駒落ちの腕前で知られた将棋棋士

灘蓮照（なだ れんしょう）は、1927年3月16日生まれ、1984年4月26日没の昭和期のプロ将棋棋士です。徳島県出身で、神田辰之助九段に師事しました。棋士番号は44番。

華々しい戦績と個性的な棋風

灘九段は、6回の棋戦優勝を誇る強豪棋士でした。NHK杯では1958年度に優勝、さらに3年連続準優勝という輝かしい成績を残しています。これは、2011年度の羽生善治四冠の記録が並ぶまで、長くNHK杯史上唯一の快記録でした。

彼の棋風は、豪胆で独特な戦法を特徴としていました。現代将棋の主流戦法の一つである「矢倉3七銀戦法」は、灘九段が編み出した「灘流矢倉」が起源とする説があります。また、振り飛車に対する玉頭位取りや中段玉を用いた力戦を得意とし、早指し将棋にも強かったことで知られています。

類まれな駒落ちの腕前

灘九段の真骨頂は、その卓越した駒落ち将棋の腕前にありました。「アマチュア初段相手に八枚落ちで勝つ自信がある」という逸話や、アマチュア四段相手に四枚落ちで三面指しを行い全勝したという記録は、当時から広く知れ渡っていました。

将棋雑誌では、灘九段に四枚落ちで勝てば二段免状を進呈するという企画が行われ、読者相手に12局指して11勝1敗という驚異的な成績を残しています。その灘流の駒落ちの指し方は、複数の将棋書籍で紹介されており、現代でも研究の対象となっています。

波瀾万丈の生涯と弟子への愛情

灘九段は、1955年の順位戦A級対局で、駒の配置を誤るという珍しい事態に見舞われています。これは反則に該当するものでしたが、そのまま対局を続け、勝利したものの、事後に無勝負と判定されました。

1982年には、森信雄門下の村山聖の奨励会入会に待ったをかけました。これは、村山聖を弟子として申請を進めていたため、混乱を避けるための措置でした。

1984年、57歳で脳梗塞のため現役のまま亡くなりました。

僧侶としての側面と人となり

灘九段は日蓮宗の僧侶として得度しており、そのことから「荒法師」という異名を持っていました。これは、彼の豪胆な棋風や厳格な指導と相まって、その人となりを感じさせるものです。彼は京都伏見で将棋道場を開いており、その道場は厳しいことで有名でした。

まとめ

灘蓮照九段は、類まれな棋力と個性的な棋風で知られた昭和を代表する将棋棋士です。彼の功績は、棋戦優勝という華々しい戦績だけでなく、後世に受け継がれる戦法や、卓越した駒落ちの技法、そして弟子たちへの愛情深い指導にも見出せます。彼の名は、これからも将棋史に刻まれたまま、多くの人に語り継がれていくことでしょう。

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