火星15

火星15（かせい15）について

火星15は、北朝鮮によって開発された大陸間弾道ミサイル（ICBM）であり、NATOのコードネームはKN-22です。このミサイルは、北朝鮮の軍事的な野心を象徴する存在として国際社会の注目を集めています。

発射の履歴

最初の発射は、2017年11月29日未明に行われました。場所は平安南道の平城付近で、ミサイルは高度4,475km、水平距離950kmを飛行し、その後日本の排他的経済水域に落下しました。この際、ミサイルは高い軌道を通るロフテッド軌道で飛行し、北朝鮮の弾道ミサイルとしては、これまでで最も高い軌道を記録しました。仮に通常の弾道軌道で発射されれば、射程は約13,000kmに達するとされています。これにより、火星15はアメリカ全土を射程内に収める飛翔能力を持っていることが明確になりました。

発射の際には、軍人が炎に包まれる事故があり、その様子がテレビで放映され、視聴者に衝撃を与える結果となりました。発射後、北朝鮮はこのミサイルが超大型核弾頭を搭載できると宣言し、「国家核戦力の完成」を強調しました。ただし、外部からは実際の発射にあたっては軽量の模擬弾頭が搭載されていたのではないかという疑念も呈されています。

さらに、火星15は二段式のミサイルであり、上下段ともに同じ直径を持つため、従来よりも大きく重い弾頭を発射可能です。また、発射は輸送起立発射機（TEL）を用い、TELは北朝鮮が火星14の発射時に用いた中国製の車両を改良したものとされています。この車両は9軸18輪の新型で、燃料は液体燃料であることが分析されています。

各国の反応

ミサイルの発射後、各国からの反応が相次ぎました。アメリカのドナルド・トランプ大統領は、発射から約2時間後に記者団に対し、北朝鮮政策は変わらないとし、国際社会が共同して対処していくべきだと述べました。また、国務長官のレックス・ティラーソンも、すべての国連制裁を履行し、追加措置を講じるよう呼びかけました。

ロシアはこの行動を「挑発的行動」とし、日本の外務省は北朝鮮に対する圧力の必要性を強調しました。韓国の文在寅大統領は、日本の安倍晋三首相とともに脅威を容認できないと表明し、中国にも対北朝鮮圧力への協力を求めました。

中国外交部は、北朝鮮のミサイル発射活動に対し厳重な懸念を示し、安保理決議への順守を求める姿勢を示しました。

他の発射事例

2022年には、火星17という新たなミサイルが発射されましたが、その正体は火星15であるとの分析がありました。さらに、2023年2月には、再び火星15が発射され、日本の排他的経済水域に落下しました。この時の発射は金正恩総書記の命令によるもので、計画に伴わない偶発的な行動であると伝えられました。

火星15は、北朝鮮の核戦力の向上を示す重要な要素と目されていますが、その発射による国際的な緊張は依然として高い状態が続いています。

もう一度検索