火道

火道（かどう、volcanic vent）とは

火道とは、地下深部のマグマ溜まりから地表へとマグマが上昇する際に形成される通路のことです。火山活動において、マグマの通り道となる火道は、火山の形状や噴火様式に大きく影響を与える重要な構造です。

火道の形成

火道の形成は、マグマ溜まり内部の圧力上昇がきっかけとなります。圧力が高まると、マグマ溜まり上部の岩盤が破壊され、その割れ目を伝ってマグマが上昇を開始します。これが最初の火道となります。

火道の形状

火道の形状は、火山の種類や深さによって異なります。複成火山の火口付近では、マグマが繰り返し同じ場所を通るため、筒状の形状をしていることが多いです。しかし、深部における火道の形状は、直接観察することが難しいため、正確には分かっていません。

相似実験では、板状のマグマが鳥の羽のように枝分かれしながら上昇していく様子が観察されています。この実験結果から、深部の火道は板状に近い形状をしていると考えられています。

地表との関係

地上に到達したマグマは、板状の火道に沿って割れ目火口や火口列を形成することがあります。これらの火口の配列は、地殻上部の応力の影響を受けていると考えられています。また、地下の岩体内に貫入したマグマは、火道を中心に板状に広がり、周囲の岩石を変化させます。

侵食によって現れる火道

長い年月をかけて侵食が進むと、地下にあった火道が地表に現れることがあります。このような地形は、岩頸や岩脈（ダイク）と呼ばれます。岩頸の代表例としては、伊豆諸島の孀婦岩や岩手県の南昌山などが挙げられます。

関連地形

側火山: 母火山体の斜面に形成された小規模な火山。
火砕丘: 火山砕屑物が堆積してできた丘。
岩頸: 侵食によって火道が地表に現れたもの。

参考文献

兼岡一郎 編『火山とマグマ』井田嘉明、東京大学出版会、1997年。ISBN 4-13-060716-2。

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