炎のカルテ

『炎のカルテ』は、1976年4月から6月にかけて日本テレビ系列の『火曜劇場』枠で放送された全13話のテレビドラマです。A・J・クローニンの小説『城砦』を原案とし、舞台を東京と長崎県の炭鉱の島・秋島（池島がモデル）に移して、一人の医師の苦悩と再生を描いています。

主人公の麻生毅は、東京の医科大学を卒業後、大学病院の医師となります。しかし、社会の醜態や矛盾に直面し、絶望を重ねる中で、妻との真実の愛に気づき、医師として、そして人間としての良心を取り戻していきます。

物語は、麻生が大学病院に勤務して6年後、恩師の勧めで船医に転身し、1年間外国の貨物船で航海生活を送るところから始まります。帰国後、母が胆石の手術で亡くなったことを知ります。恋人の看護婦・千花から、母の死は執刀医である助教授・船田の手術ミスが原因だと聞かされます。さらに、母が千人に一人という特異体質であったことも判明し、麻生は責任を追及しようとしますが、千花の裏切りに遭い、大きなショックを受けます。麻生は、野心家の外科医に立ち向かい、激しい人間模様を繰り広げていきます。

竹脇無我が演じる麻生毅は、第3話で長崎県・秋島の病院へ赴任します。この秋島のロケは、実際の池島で行われました。また、前年に脳内出血で倒れ、再起不能と噂されていた千秋実が、本作の後半からカムバック出演を果たしたことも話題となりました。

主なキャストは以下の通りです。

麻生毅：竹脇無我
麻生美沙緒：丘みつ子（毅の妻、小学校教師）
中原たまき：太地喜和子（ファッションデザイナー）
千花：夏純子
芥川：細川俊之（毅の親友）
船田：石濱朗
太一：高野浩幸
千秋実
根上淳
草刈教授：松村達雄
笠戸：宍戸錠（秋島病院の外科医）
荒井：下條正巳（秋島病院院長）
円城寺：曽我廼家明蝶（ビル会社社長）
円城寺明子：斎藤美和（円城寺の妻）

制作スタッフは以下の通りです。

原作：A・J・クローニン（『城砦』より）
プロデューサー：山本時雄
脚本：杉山義法
演出：池田義一、佐光千尋
* 制作：日本テレビ

『炎のカルテ』は、社会の矛盾に翻弄されながらも、医師としての使命感と人間愛を貫こうとする主人公の姿を通して、人間の尊厳や生きる意味を問いかける作品です。

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