点頭てんかん

点頭てんかん（ウエスト症候群）について

点頭てんかんとは、乳児期に発症するてんかんの一種で、ウエスト症候群とも呼ばれています。この疾患は主に3歳未満の子供に見られ、点頭発作（攣縮）を特徴とします。発作は短時間で、複数回繰り返されるのが一般的です。また、脳波の異常であるヒプスアリズミアが確認されることが多く、これらの症状が組み合わさることで診断されます。

診断基準

1989年に定められた国際てんかん分類では、ウエスト症候群の診断基準として以下の3つが挙げられます：
1. 乳児スパスム
2. 精神運動発達の停止
3. ヒプスアリズミア

これらのうち2つ以上が確認されれば診断が下されます。日本では、ACTH治療への反応が良好であることや、一般的な抗てんかん薬が効果を上げにくいことも診断の手掛かりとされています。

発作の特徴

点頭発作は通常1〜3秒程度の短い時間に発生し、四肢や頭部が強直します。この動きはイスラム教の礼拝時の「点頭」に似た形をしていることから、点頭発作と名付けられました。しかし、発作の型は多様で、体を伸ばすような動きや片方の肢だけの強直、さらには眼球の動きや声を出すことだけの発作も見られます。

ヒプスアリズミアとは

ヒプスアリズミアは、脳波においてリズムが無い状態を示します。多様な波形が不規則に現れ、その外見は「グチャグチャ」と形容されることがあります。この異常は、点頭てんかんの患者にも多く見られ、診断上重要な指標です。

原因

ウエスト症候群の原因には、周産期脳障害や結節性硬化症が含まれます。また、ダウン症などの染色体異常や、いくつかの代謝疾患、さらにはサイトメガロウイルス感染といった先天的な要因も挙げられます。最近の研究では、遺伝子異常が関与しているケースも増えており、研究の進展が期待されています。

疫学

この疾患は日本では1万人に3.1人とされ、発症率は他の国でも確認されています。また、男児に多く見られる傾向があります。発症は主に3か月から9か月の乳児に集中しています。

治療方法

最も効果的な治療法とされるのがACTH（副腎皮質刺激ホルモン）療法です。この治療法は日本国内で広く行われており、筋肉注射などで実施されます。その他、ビタミンB6や抗てんかん薬などが使用されることもありますが、効果にバラつきがあります。

予後

点頭てんかんにおいては、スパスム自体は治療しなくても消失することが一般的ですが、他の難治性のてんかんに移行するリスクが高いとされています。治療が成功した場合でも、知能に関する予後は不良であることが多く、精神運動発達遅滞を認めることが一般的です。

結論

点頭てんかんは主に乳児に見られる難治性のてんかん症候群ですが、早期の診断と治療が重要です。疾患の特性を理解し、適切な治療を行うことで、患者の生活の質を向上させることが期待されます。この疾患に対する研究は続いており、より良い治療法や予後改善に向けた知見が求められています。

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