結節性硬化症

結節性硬化症とは

結節性硬化症（けっせつせいこうかしょう）とは、母斑症と呼ばれる神経皮膚症候群の一つで、別名はプリングル病やボンネビル病です。この疾患は常染色体優性遺伝の遺伝性疾患であり、主に顔面血管線維腫、てんかん、精神発達遅滞という三つの主要な症状が現れます。日本では、難治性疾患克服研究事業の対象にもなっており、その重要性が認識されています。

主な症状

皮膚病変

- 顔面血管線維腫: 顔面に現れる血管性の良性腫瘍で、見た目に現れることが多いです。
- 皮膚の白斑: 皮膚に白い斑点が見られることがあります。
- 結合組織母斑: 皮膚の中に結合組織が異常に形成された病変です。
- 爪囲線維腫: 爪の周囲にできる腫瘍です。

内臓病変

内部でも多くの症状が観察されます。
- てんかん: 神経系に障害があることで発作が起こることがあります。
- 網膜腫瘍: 視力に影響を与える可能性がある腫瘍です。
- 心臓の横紋筋腫: 心臓に発生する良性腫瘍。
- 腎臓の血管筋脂肪腫: 腎臓にできる良性の腫瘍で、腎機能に影響を及ぼすことがあります。
- 肺リンパ脈管筋腫症（LAM）: 若年女性に多く見られる稀な肺疾患です。

検査方法

結節性硬化症の診断には、頭部CTやMRIなどの画像検査が用いられます。これらの検査において、脳室壁や大脳に異常信号が見られることが診断の手助けとなります。

治療について

現時点で根本的な治療法は存在しませんが、症状に応じた対症療法が行われています。以下に主要な治療方法を示します。

点頭てんかんの治療

- ACTH療法: 発作を抑えるために用いられます。
- ビガバトリン: 2016年に日本で承認された抗てんかん薬です。

腎腫瘍や脳[[腫瘍]]の治療

- 外科的切除: 良性腎腫瘍（AML）や良性脳[[腫瘍]]（SEGA）のために行われます。
- エベロリムス: 腫瘍の成長を抑えるための薬剤です。

皮膚病変への対策

- 外科的切除: 顔面の血管線維腫や他の腫瘍に対して行われます。
- Nd:YAGレーザーや炭酸ガスレーザー: 皮膚治療に用いられるレーザー療法。
- ラパマイシン: 現在治験中の薬剤です。

リンパ脈管筋腫症（LAM）の治療

- シロリムス: LAMに関連する治療薬として使用されています。

LAMとの関連

特に若年女性に多く見られる肺リンパ脈管筋腫症（LAM）は、結節性硬化症との関連が指摘されています。病理的には血管筋脂肪腫と似ていて、CT検査ではびまん性の嚢胞が形成されます。また、肺胞の破壊や平滑筋の増生が見られることがあります。進行すると閉塞性換気障害を引き起こし、気胸の原因ともなるため、重症例では肺移植が必要となることもあります。

以上が結節性硬化症に関する基礎知識およびその症状・治療についての情報です。

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