烏丸資任

烏丸資任：足利義政を支えた公卿

烏丸資任は、室町時代前期から後期にかけて活躍した、足利義政将軍に重用された公卿です。従一位・准大臣にまで上り詰めた彼の生涯は、動乱の室町幕府の政治の中枢に深く関与した証と言えるでしょう。

幼少期の義政と烏丸殿

資任は烏丸豊光の子として生まれました。足利義教の五男であった義政は、将来将軍を継ぐ可能性が低く、幼少期を母方の親族である資任の屋敷、烏丸殿で過ごしました。しかし、嘉吉3年（1443年）に兄の急死により、義政が8代将軍に就任することとなります。そのため、烏丸殿はそのまま将軍の御所として使用され続け、長禄3年（1459年）に義政が室町殿に移るまで、その役割を果たしました。この経験から、資任は義政にとって育ての親のような存在となり、幕政における発言力も強まりました。

幕政への関与と栄達

資任は文安元年（1444年）に参議に任じられ、その後、長禄2年（1458年）には従一位・准大臣の地位にまで上り詰めました。これは、義政への近侍と深い信頼関係があってこそ成し得た、大きな功績と言えるでしょう。彼は、今参局（御今）の有馬持家（あるいは有馬元家）と共に幕政に深く関与し、「三魔」と呼ばれたと伝えられています。「三魔」とは、資任の「烏丸」、有馬の「有馬」、そして「今参局」の「今」と、三者の氏名に共通して「ま」の字が含まれることに由来する、興味深い呼び名です。

応仁の乱と隠退

応仁元年（1467年）、応仁の乱が勃発します。この激動の時代の中、資任は出家し、西誉と号しました。戦乱を避けるため、彼は三河国伊良湖御厨（現在の愛知県田原市）へと下向し、静かに余生を過ごしました。そして、文明14年（1482年）、66歳でこの地で生涯を終えました。

人物像

烏丸資任は、単なる公卿としてだけでなく、足利義政の幼少期教育から幕政への参画、そして応仁の乱における対応まで、激動の時代を生き抜いた重要な人物でした。義政への深い信頼関係と、幕政への積極的な関与は、彼の高い能力と影響力の大きさを示しています。また、「三魔」と呼ばれるほど、他の有力者との緊密な連携も彼の政治力を支えていたと言えるでしょう。彼の生涯は、室町幕府後期の政治史を理解する上で、欠かせない重要なピースとなっています。

系譜

父：烏丸豊光（1378-1429）
母：不詳
妻：不詳
男子：烏丸益光
男子：烏丸季光
養子：烏丸冬光

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