烏山頭ダム

烏山頭ダムについて

烏山頭ダム（うさんとうダム）は、台湾の台南市官田区に位置し、かつての名称は烏山頭貯水池です。著名な水利技術者・八田與一が建設を監督したことから、八田ダムとも呼ばれています。このダムは海抜468mの烏山嶺に建設されており、水力発電設備を備えています。特に上空から見ると、ダム湖は緑色の珊瑚のように見えることから、「珊瑚湖」という愛称もあるのです。

建設と歴史

烏山頭ダムの建設は1920年に始まり、1930年に完工しました。これは嘉南大圳の重要な水利工事の一部で、台湾初期のダムの一つでもあります。工事は日本人技術者の八田與一が計画・指導し、主に嘉南平原の農業灌漑の目的で整備されました。ダムは曽文渓支流の官田渓上流にあり、台南県の各地域にまたがる低地を利用して大埔渓の水を集めています。そして、後に曽文ダムが完成したことで、両者は相互に補完し合いながら運用されています。

建設にあたっては、大倉土木（現在の大成建設）をはじめ、鹿島組（鹿島建設）、住吉組、黑板工業が協力しました。しかし、工事中には爆発事故が起きて、50人以上の死者、100人以上の負傷者を出す重大な事態もありました。

福利厚生の取り組み

ダム建設に伴い、作業員の福利厚生にも配慮され、宿舎や学校、病院などの施設が整備されました。ところが、大正11年には関東大震災が発生し、予算削減の影響で作業員を解雇せざるを得なくなったという苦い経験も持っています。八田は有能な者たちに再就職の道を提供し、理解を得るために尽力しました。

構造と貯水能力

烏山頭ダムの主な設計データは以下の通りです：

• - 集水面積: 58.24km²
• - 満水位面積: 9.54km²
• - 総貯水容量: 154,158,000m³
• - 堤高: 66.66m
• - 堤長: 1,273m

このダムは半水力式アースダムであり、設計流量は1500m³/secに達します。

また、烏山頭ダムは2001年に台湾十大土木史跡に選ばれ、2009年には土木学会選奨土木遺産に認定されています。

観光と世界遺産登録

1969年、嘉南農田水利会はダム周辺の自然と歴史を観光資源として活用するため、烏山頭風景区を設立しました。1979年には省級風景特定区に指定され、現在は西拉雅国家風景区の一部として管理されています。入場可能な施設には、八田技師紀念室や大壩石堤、溢洪道などが含まれ、多くの観光客を惹きつけています。

さらに、ダムとその水利システムは、世界遺産への登録も目指されている重要な文化資産となっています。

アクセス

大台南公車を利用すれば、新営駅、柳営駅や林鳳営駅から簡単にアクセスでき、便も豊富です。観光客は「烏山頭水庫」で下車し、ダムの美しい景色を楽しむことができます。

烏山頭ダムは、その歴史的価値と美しい景観から、台湾を訪れるならぜひ訪れたくなる場所です。

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