烏江

烏江（うこう）

烏江は、中華人民共和国に位置する大河であり、貴州省から重慶市へ流れています。この川は、長江上流において重要な支流の一つであり、全長は1,037 kmにも及びます。雲貴高原を流れるこの川は、貴州省随一の大河とみなされています。かつては『黔江』『涪水』『延江』とも呼ばれており、名前の由来や歴史も興味深いものがあります。

烏江は主に南北二つの大きな支流が合流することで形成されます。南側の支流である三岔河は、貴州省の西端、畢節市の威寧イ族回族ミャオ族自治県の烏蒙山の東麓から流れます。一方、北からの支流である六沖河は同じく畢節市の赫章県から湧き出ています。一般的には、三岔河が本流とされています。

両川が合流すると、その水流は鴨池河となり、さらに省都の貴陽市に向かいます。貴陽市の息烽県で烏江という名に変わり、貴州省を東西に貫通します。最終的には重慶市に至り、湖北省恩施土家族苗族自治州からの支流も合流することで、重慶市の涪陵区で一緒になります。これにより、烏江の流域は広範囲に及び、水の流れが豊かな地域を形成しています。

この川の特徴的な点は、その沿岸の美しい渓谷にあります。烏江流域は「千里画廊」と呼ばれ、その景観が高く評価されています。特に、2009年に沿河トゥチャ族自治県域内に位置する夾石峡や黎芝峡、土坨峡といったスポットが『沿河烏江山峡風景名勝区』として国家級の風景名勝区に認定され、観光名所としても知られるようになりました。

さらに烏江流域は、水力発電の重要な場所でもあります。ここには多くのダムが建設されており、中国でも有数の水力発電地帯として知られています。主な支流としては、芙蓉江、清水江、濯河、猫跳河、洪渡河などがあり、これらの支流も烏江流域の生態系や経済に大きな役割を果たしています。

なお、烏江という地名は、歴史においても重要な位置を占めています。楚漢戦争の際、項羽が垓下の戦いで敗れた後に最期を迎えた渡し場も烏江と呼ばれており、こちらは現在の安徽省馬鞍山市和県烏江鎮付近に存在しています。こちらの烏江と本取上の烏江は異なる場所であるため、注意が必要です。

このように、烏江はその美しい自然景観と重要な役割を持つ川として、多くの人々に親しまれています。特に観光資源としても評価されており、訪れる価値の高いスポットと言えるでしょう。

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