無水トイレ

無水トイレとは

無水トイレは、その名の通り、水を流さずに使用できる小便器の一種です。従来の水洗トイレとは異なり、節水効果が期待できるため、近年注目されています。

概要

水を使わない小便器自体は、水洗化されていないトイレなどでも見られましたが、尿が残ることでアンモニア臭が発生しやすいという課題がありました。また、水洗トイレでは、尿と洗浄水が反応して尿石が固着し、清掃が困難になるという問題も存在しました。

無水トイレは、これらの問題を解決するために開発されました。各メーカーは独自の技術を採用し、臭いの抑制や尿石の防止を実現しています。

現在、URIMAT、uridan、INAX（LIXIL）、環境企画など、複数のメーカーから無水トイレが販売されています。例えば、URIMATの小便器は、液剤を使用せず、天然バクテリア入りのカートリッジを通して尿を処理し、尿石化を防ぐ仕組みを採用しています。一方、INAX（LIXIL）などの製品は、便器下部に比重の軽い特殊液の入ったカートリッジを設置し、この特殊液で尿を覆うことでアンモニア臭を抑制する仕組みです。

導入事例

無水トイレは、節水効果や環境への配慮から、様々な場所に導入されています。

南海電気鉄道: 各駅の男子トイレにファルコン・ウォーターフリー・テクノロジーズの無水トイレを導入。年間約2万2000トンの節水と、水道代約600万円の削減効果が期待されています。また、12000系電車の男性用トイレにも採用されています。
南海フェリー: 南海電気鉄道の各駅に続き、グループの南海フェリーが運航するフェリーにも導入。旅客船への導入は世界初です。
琴浦町: 琴浦庁舎の新築に合わせて設置されましたが、臭いの問題から後に水洗式に取り換えられました。
イケア仙台: 無水トイレメーカーのウリマットから東北復興支援として寄贈され導入されました。
その他: 鉄道駅、地方公共団体の庁舎、銀行の支店など、様々な場所に設置が進んでいます。

メリット・デメリット

メリット

節水効果: 最大のメリットは、水資源の削減です。洗浄水が不要なため、大幅な節水が可能です。
環境負荷の低減: 節水により、洗浄水の精製に必要なエネルギーを削減でき、二酸化炭素排出量の削減にも貢献します。
工事の容易性: 水道工事に加え、自動洗浄装置設置のための電源工事も不要なため、設置工事が容易です。

デメリット

定期的なメンテナンス: 各社指定の方法で定期的な清掃が必要です。
カートリッジ交換: カートリッジは一定の頻度で交換する必要があります。

まとめ

無水トイレは、節水効果や環境負荷の低減が期待できる、これからの時代に適したトイレです。導入事例も増えており、今後ますます普及していくことが予想されます。

関連項目

便所

参考資料

日本トイレ研究所
日本トイレ協会
株式会社　環境企画
㈱LIXIL 無水便器
URIMAT Japan

もう一度検索