無限ホンダ・MF301H

無限ホンダMF301H

無限ホンダMF301Hは、無限（現・M-TEC）が本田技術研究所と連携して開発したフォーミュラ1用のレシプロエンジンシリーズです。このエンジンは、3リッターのV型10気筒構造を持ち、1995年から2000年にかけて、MF301HからMF301HEまでの計6タイプが導入されました。

概要

1992年から始まった無限のF1エンジン供給は、当時のレギュレーション「3.5リッター・自然吸気エンジン」に基づき、MF351Hシリーズが提供されていました。しかし、1995年にF1レギュレーションが改定され、エンジン排気量の上限が3リッターに制限されたため、MF301Hシリーズが登場することになりました。設計の中心には当時本田技術研究所の橋本朋幸が担当しており、彼の手によって進化がもたらされました。

MF301Hの初期モデルは、680馬力と137kgというスペックを誇りました。この数値は、2000年の最終モデルMF301HEにおいて773馬力と121kgにまで向上し、技術革新を感じさせるものでした。実際のパワーについては異なる見解があり、ジョーダンチームのゲイリー・アンダーソンは、1998年開幕時点でのベンチテストでは688馬力しか出ていないとの証言もあります。しかし、1998年のシーズン後半には他のメーカーのエンジンと同等の性能を持つに至りました。

エピソード

本田博俊の話によると、1996年頃にリジェの共同オーナーであるフラビオ・ブリアトーレと共に、自社のエンジンを広く市販する計画があったとのことです。無限は「日本のコスワース」を目指して設立された経緯があり、この計画が実現すれば夢の実現につながるものでした。しかし、本社からの反対や内部の意見があり、計画は実現しませんでした。その後、ブリアトーレはルノーF1チームやメカクロームと協力し、「スーパーテック」エンジンの販売を手掛けることになります。

スペック

以下はMF301HDの基本データです（特記のない限りプレスリリースより）:

• - 全長: 625mm以下
• - 全幅: 520mm以下
• - 全高: 455mm以下
• - 気筒数: V型10気筒
• - インジェクション: ホンダPGM-FI
• - イグニッション: ホンダPGM-IG
• - バルブ: PVRS（エアバルブスプリングシステム）
• - 最大馬力: 768bhp/16,400rpm
• - 重量: 122kg

無限ホンダMF301Hは、F1エンジンの進化とともに、ホンダの技術力を象徴する存在として業界に大きな影響を与えました。

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