焼味

焼味（シュウメイ、シャオウェイ）とは

焼味は広東料理や香港料理に属する料理のスタイルであり、主にあぶり焼きにされた肉類の総称を指します。この料理は、独自の製法で調理された肉の風味を楽しむためのもので、特に広東の人々には欠かせない存在として位置付けられています。

概要

「焼」という漢字は、中国料理においては「煮込む」という意味にも用いられますが、焼味という言葉ではあぶり焼きを指します。このため、焼味は日本人のイメージに近い形で捉えられることが多いです。代表的な焼味の料理には、叉焼（チャーシュー）、焼肉、焼鴨（アヒルのロースト）、さらには烤乳猪（乳豚のロースト）などがあります。

焼味の特徴として、肉類に通常通りに火を入れる料理と、表面にタレや蜜を塗りながら加熱する料理があることが挙げられます。この後者のスタイルは「焼臘」（または臘味）と呼ばれています。広州の人々にとっては、焼味を用意したものが宴会の席には欠かせない大切なごちそうであり、日常的にも食卓に上る程、身近な料理なのです。

焼味舗について

焼味を専門として提供する飲食店は、一般に「焼味舗」と呼ばれます。これらの店舗は、街中の見慣れた場所にあり、日常的に利用される食事の場としての役割を果たしています。日本の寿司屋や焼き鳥屋、定食屋、居酒屋に近い感覚の飲食店として親しまれています。

焼味舗の特徴的な点は、店舗の正面がガラス張りで、焼き上げたアヒルやガチョウが目に見える形でぶら下げられていることです。これによって通行人の目を引き、興味を持たせるような工夫がされています。焼味舗では料理の提供は、量り売りで行われ、客が希望するサイズに店員がカットして提供するスタイルです。

焼味舗では、焼味だけでなく、茹で鶏の白切鶏や「滷味」と呼ばれるタレに漬け込んだ肉料理なども提供されており、作り置きができる茹で肉の料理も選択肢に入っています。また、焼味はご飯と一緒に定食として楽しむこともできれば、酒の肴や煲仔飯の具材としても人気があります。

「斬料」について

「斬料」という用語は広東語で、「材料を斬る」という直訳がなされますが、実際には「焼味舗で焼味を購入し、おかずとして用いる」という意味合いを持っています。このため、広州の人々にとって、焼味舗で焼味の料理を買うことは非常に一般的な習慣といえるでしょう。

日本における展開

日本において、「焼味」が広まり始めたのは、2013年に出店した「楽記」という店舗が起源とされています。この店舗は、ワイン文化の普及者である勝山晋作氏と、中国茶文化の普及者である菊地和男氏が立ち上げたものです。しかし、焼味の知名度が低い状況の中、2019年に勝山氏が亡くなると「楽記」も閉店してしまいました。

その後、2018年には九段下に「錦福 香港美食」、さらに早稲田に「香港 華記 焼味&米線」が開店し、徐々に焼味の認知が高まっています。特にコロナ禍においては、テイクアウトの需要が増加し、焼味舗が人気を集め、新たな店舗の開業も進んでいます。

共に焼味の魅力を感じることができるような新たな文化の発展に期待が寄せられています。

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