照和

照和（しょうわ）

照和は福岡県福岡市中央区天神2丁目に所在するライブ喫茶で、1970年11月にオープンしました。オーナーの教育者としての背景もあり、店名には当時の学生運動などの混乱した世の中を明るく照らすという望みが込められています。このライブ喫茶は、フォークブームの最中に多くの若者が集い、音楽を元気づける場所として生まれました。

1960年代末、広島フォーク村や関西フォークが盛況であった時期に、福岡の音楽シーンはまだ本格的なムーブメントには至っていませんでしたが、照和の開店により福岡のミュージックシーンが活性化し、さまざまな才能が集うようになったのです。特に70年代から80年代にかけては、この小さなステージ（高さわずか10cm）に立つことが名誉とされており、福岡を代表するアーティストたちは若き日の夢を追い求めて照和で音楽活動を行っていました。ここでは、若手ミュージシャンたちが店のメニューと引き替えにステージに立つことが一般的で、観客はその歌唱力に対して非常に厳しかったため、彼らはそこでしっかりとした経験を積みながら成長しました。

照和は「日本のリバプール」とも称されるように、ビートルズの故郷リバプールを想起させるほど多くのミュージシャンを輩出してきました。南海放送のディレクターを務めていた岸川均の存在や、RKBラジオの「スマッシュ!!11」などとの関連もあって、照和は福岡の音楽文化の象徴とされてきました。

一度1978年に閉店しましたが、1991年に再び営業を再開し、現在でも金曜と土曜にはライブイベントを開催しています。アマチュア音楽シーンを支える重要な存在として、福岡の音楽愛好家たちに親しまれています。

照和からは多くの著名なミュージシャンが誕生しました。例えば、鮎川誠（サンハウス、シーナ&ザ・ロケッツ）、石橋凌（ARB）、海援隊、甲斐バンド、陣内孝則（ザ・ロッカーズ）など、数多のアーティストがここで経験を積みました。特に1970年代初頭には、チューリップと海援隊が最も人気を博していました。海援隊の武田鉄矢が著書の中で、チューリップをライバルと位置づけているのがその証拠です。チューリップがメジャーデビューする際、海援隊のドラマーが引き抜かれたことによる一時的な解散状態もありましたが、その後両者とも大きく羽ばたいていきました。

照和は映画の舞台にもなり、2010年には甲斐バンドのドキュメンタリーおよびライブイベントが上映されました。この作品では、ライブが映像化された時だけでなく、照和の歴史やアーティストへのインタビューも交える形で制作されています。映画には、照和の歴史を彩った多くのアーティストが登場し、彼らの思い出は観客に感動を与えました。

また、照和では2006年からお笑いライブも開催されるようになり、音楽だけでなくお笑いの場としても親しまれるようになりました。これにより、様々なエンターテイメントが交差する場となり、地域の文化を一層豊かにしています。照和は、音楽と笑いが共存し、多様な個性が交わる特別な場所として、今も多くの人々に愛され続けています。

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