熊本刑務所

熊本刑務所：歴史と現状

熊本刑務所は、福岡矯正管区に属する男子刑務所です。熊本市中央区渡鹿に位置し、京町拘置支所、八代拘置支所、天草拘置支所の3つの支所を管轄下に置いています。収容分類級はLB級とP級で、長期服役者や身体障害者など、処遇に困難を伴う受刑者の収容を主な役割としています。収容定員は616名です。

歴史

熊本刑務所の起源は、1872年（明治5年）に熊本市中央区手取本町の旧熊本藩厩跡に設置された熊本監獄に遡ります。その後、1915年（大正4年）に現在の渡鹿に移転、1921年（大正10年）に建設が完了し、1922年（大正11年）に熊本刑務所と改称されました。歴史の中で空襲による被害や老朽化を経験し、改築を経て現在に至っています。

熊本地震における対応

2016年の熊本地震発生時には、刑務所職員用の道場を一般住民向けの避難所として開放し、一時的に約250名を収容しました。法務省によると、刑務所が避難所として利用されたのは全国初のことだったと言われています。災害救助法の適用外である刑務所ですが、常時備蓄されている食料や、敷地内に設置された井戸、自家発電設備などが被災者支援に役立ちました。

所在地とアクセス

熊本刑務所は、熊本県熊本市中央区渡鹿7-12-1に位置し、熊本県道145号瀬田熊本線沿いにあります。最寄りの駅はJR九州豊肥本線東海学園前駅で、徒歩約5分です。九州産交バス供合線（F1-1・F1-2系統）渡鹿六丁目バス停からもアクセス可能です。

組織

熊本刑務所の組織は、所長を頂点に、2部1課の2部制となっています。

総務部: 庶務課、会計課、用度課
処遇部: 処遇担当、企画担当
* 医務課

菊池医療刑務支所

かつて、熊本刑務所には菊池医療刑務支所が存在していました。これはハンセン病患者のための刑務所として、1947年のハンセン病患者への参政権付与を機に、国立療養所栗生楽泉園での獄死事件などを背景に建設されました。しかし、らい予防法廃止後の1996年に機能が廃止されています。

特筆すべき受刑者

熊本刑務所には、数々の著名な受刑者が服役していました。例えば、古谷惣吉連続殺人事件の犯人である古谷惣吉や、熊本母娘殺害事件の死刑囚などが挙げられます。また、60年以上服役した受刑者の仮釈放など、長期間の服役に関する記録も残されています。2016年の視察では、最高齢の受刑者が93歳であると報告されています。

熊本刑務所を舞台とした作品

熊本刑務所は、いくつかのビデオ作品を舞台として取り上げられています。例えば、『実録・九州やくざ抗争史 LB熊本刑務所』シリーズや『実録・九州やくざ道 LB熊本刑務所』などです。これらの作品は、熊本刑務所の雰囲気や受刑者の生活などを描いたフィクション作品であると考えられます。

参考文献

熊本刑務所に関する詳細な情報は、浅宮拓氏の著書『「無期懲役」で出所した男の憎悪の矛先－熊本「お礼参り」連続殺人事件』などにも見られます。これらの文献は、熊本刑務所を取り巻く社会的な問題や、受刑者のその後の人生などを深く考察しています。

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