熊本都市圏

熊本都市圏：熊本市を中心とした都市圏の現状と変遷

熊本都市圏とは、熊本県熊本市を中心に形成される都市圏を指します。経済学的な視点では約111万人の人口を擁する地域ですが、その範囲は政治的な状況によって変化してきました。本稿では、熊本都市圏の特色、政令指定都市への移行、そして九州における役割について解説します。

熊本都市圏の特色

熊本都市圏は、熊本県におけるプライメイトシティ（最大中心都市）としての役割を担っています。学術的な都市雇用圏としては110.2万人の人口を擁し、域内総生産は約3兆4904億円にのぼります。古くから北九州と南九州を結ぶ結節点として、政治・軍事・交通の中心地でした。

かつては九州地方全域を管轄する国の出先機関が置かれ、九州の中心としての地位を確立していましたが、戦後の交通網整備により、南九州が熊本市を経由せずに福岡市と直接繋がるようになり、結節点としての重要性は低下しました。しかし、現在でも九州財務局や九州農政局など、九州あるいは南九州における行政・軍事の中枢機能の一部が残っており、熊本県における政治・経済の中枢としての役割を果たしています。

広域合併と政令指定都市昇格

2010年度末の九州新幹線開通により、博多駅と熊本駅が約35分で結ばれると、ストロー現象による業務機能や物販機能の福岡都市圏への流出が懸念されました。この対策として、熊本市は都市としての魅力を高め、機能の効率化を図るため、政令指定都市への昇格を目指しました。

これは都市圏全域を対象とした広域合併という形で行われました。周辺自治体は、昼間人口が多く都市基盤整備の需要が高いにも関わらず、税収が少ないという問題を抱えていました。そのため、当初は財政難の熊本市との合併に難色を示す地域もありましたが、最終的に2010年3月23日に富合町、植木町、城南町を編入し、人口73万人の新・熊本市が誕生しました。そして、2012年4月1日に政令指定都市へと移行しました。

もっとも、九州新幹線開業後に熊本市の調査会社が行った調査によれば、懸念されていたストロー現象はほとんど見られなかったという結果も出ています。

州都の誘致

2006年9月には、熊本市と近隣の14市町村で構成される研究会が、政令指定都市移行や交通基盤整備などを盛り込んだ熊本都市圏ビジョンの基本構想案を発表し、九州の州都を目指すことを表明しました。蒲島郁夫熊本県知事は、福岡をニューヨークとするなら、熊本はワシントンを目指すべきだと述べ、州都誘致に積極的な姿勢を示しています。

しかし、九州の州都には、福岡県久留米市や佐賀県鳥栖市なども名乗りを上げています。2008年の調査では、九州内の自治体の長に対するアンケートで、熊本市が最も多くの支持を得るという結果が出ています。

都市圏の定義と変遷

熊本都市圏の定義は、時代や目的によって変化しています。総務省の基準による都市圏（1.5%都市圏）では、2015年の人口は149.3万人であり、2012年の政令指定都市移行に伴い「大都市圏」に昇格しました。これは、七大都市圏、静岡・浜松大都市圏、岡山都市圏に次ぐ、全国10番目の規模です。

しかし、この1.5%都市圏は、日常的な都市圏の範囲としては広すぎるため、非定期的な人の移動、つまり娯楽や購買行動における商圏または経済圏の目安となります。

まとめ

熊本都市圏は、熊本市を中心とした地域経済圏であり、周辺自治体との合併を経て政令指定都市へと移行しました。九州における役割は変化しつつありますが、現在でも熊本県の政治・経済の中枢としての役割を担っています。今後の発展に注目が集まります。

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