城南町

城南町（じょうなんまち）

熊本県の中央部に位置し、下益城郡に属していた城南町は、現在は熊本市南区の一部となっています。町名は、熊本城の南に位置することに由来しています。

地理

城南町は、向坂山を水源とする緑川と浜戸川という二つの主要な河川を有しています。緑川は町の北を西に流れ、嘉島町や熊本市との境界を形成し、浜戸川は町の東南から北西を貫流し、緑川に合流しています。町の地形は、北部が肥沃な水田地帯、中部が役場や商店街など町の中心部、南部は古墳公園やゴルフ場、温泉施設があるという特徴的な構成になっています。これらの地域は、旧杉上村、旧隈庄町、旧豊田村という三つの自治体が合併したものです。元々、各地域間の結びつきは強く、1955年に合併に至りました。

歴史

城南町エリアは、山と海に近く、狩猟や海産物の取得が容易であったため、古代より多くの人々が居住していました。町内には、阿高貝塚や御領貝塚などの貝塚、塚原古墳群などの遺跡が点在しています。また、熊本県最古の寺とされる陳内廃寺や、9世紀の益城国府の推定地としても有力視されており、古くから開けた土地であったことが伺えます。中世には、益城地方の重要な城として隈庄城が築かれました。

近現代の年表

1955年（昭和30年）：杉上村、隈庄町、豊田村が合併し、城南町が発足。
1967年（昭和42年）：下益城中学校と豊田中学校が統合し、城南町立下益城城南中学校が発足。
1968年（昭和43年）：御領貝塚が国の史跡に指定。
1972年（昭和47年）：昭和47年7月豪雨により黒橋貝塚が発見される。
1972年（昭和47年）：杉上東西小学校の統合が決定。
1975年（昭和50年）：上塚周平が名誉町民第1号に選ばれる。
1976年（昭和51年）：塚原古墳群が国の史跡に指定。
1977年（昭和52年）：上塚司、林田正治が名誉町民に選ばれる。
1980年（昭和55年）：阿高・黒橋貝塚が国の史跡に指定。
1982年（昭和57年）：熊本県民天文台が完成。
1983年（昭和58年）：城南町歴史民俗資料館がオープン。
1986年（昭和61年）：城南橋が開通。
1988年（昭和63年）：鰐瀬バイパスが開通。
1989年（平成元年）：小林久雄が名誉町民に選ばれる。
1991年（平成3年）：下益城郡富合町と境界変更。
1991年（平成3年）：城南バイパスが開通。
1993年（平成5年）：熊本松橋線が国道266号に昇格。
1993年（平成5年）：アイシン九州が操業開始。
1994年（平成6年）：上益城郡甲佐町と境界変更。
1995年（平成7年）：国道266号蓍町橋が開通。
1997年（平成9年）：火の君総合文化センターがオープン。
1999年（平成11年）：宇城北部広域農道（ウキウキロード）が開通。
1999年（平成11年）：天皇・皇后が身体障害者療護施設くまむた荘を訪問。
2000年（平成12年）：東家嘉幸が名誉町民に選ばれる。
2002年（平成14年）：熊本県民天文台で発見された小惑星が「城南」と命名。
2008年（平成20年）：ブラジル移民100周年記念式典が開催。
2010年（平成22年）：熊本市に編入合併し、城南町は合併特例区となる。

熊本市との合併

2007年に行われた住民アンケートの結果、合併賛成派が多数を占め、熊本市との合併協議が始まりました。合併反対派による住民投票の要求や町長のリコール運動など、紆余曲折がありましたが、2009年に住民投票で合併が承認され、2010年3月23日に熊本市に編入されました。

産業

城南町には、アイシン九州、昭和電工、五木食品など、多くの企業が本社や事業所を構えています。2004年度の町内総生産は465億円でした。

城南町に本社・事業所を置く主要企業

アイシン九州（アイシン系列）：本社
昭和電工：熊本ガスセンター
五木食品：本社
火の国酒造：本社
湖東製作所：本社
泰明電機：配電盤工場

地域

行政

歴代の町長は以下の通りです。

初代（1955年 - 1959年）：小林久雄
第2代（1959年 - 1963年）：馬原明之
第3 - 5代（1963年 - 1975年）：岩永雅敏
第6 - 8代（1975年 - 1987年）：宮部末雄
第9 - 11代（1987年 - 1999年）：上田長雄
第12代（1999年 - 2003年）：八幡紀雄
第13代（2003年 - 2007年）：小林佳之
第14代（2007年 - 2010年）：八幡紀雄

教育

町内には、中学校1校、小学校3校、幼稚園1園、保育園6園がありました。特に城南町立杉上小学校は、小学生クラス対抗30人31脚で世界記録を保持していました。

交通

空港：最寄りの空港は熊本空港（阿蘇くまもと空港）。
鉄道：最寄りの駅はJR鹿児島本線宇土駅またはJR豊肥本線南熊本駅。
バス：熊本バスが、熊本市中心部への路線や、宇土駅、松橋駅方面への路線を運行。高速バスは、九州自動車道上の城南バスストップに停車。
道路：九州自動車道御船インターチェンジが最寄り。現在は、城南スマートインターチェンジも利用可能。

主要な施設

火の君総合文化センター
城南町B&G海洋センター
くまもと城南カントリークラブ
くまもと城南温泉スポーツ文化センター
熊本市立城南図書館
熊本市城南児童館

名所・旧跡・観光スポット

塚原古墳公園
塚原古墳群
熊本県民天文台
城南町歴史民俗資料館
メリ穴公園
城の鼻公園
御領貝塚
阿高黒橋貝塚
下田のイチョウ
宮地神社
小木阿蘇神社

祭事・催事

城南町夏まつり（7月23日・24日）
火の君まつり（10月最終日曜）

城南町出身の著名人・有名人

城南町は、多くの著名人を輩出しています。武将の菊池武光や、ブラジル移民功労者の上塚周平、政治家の上塚司、東家嘉幸、林田正治、考古学者の小林久雄などがいます。

菊池武光（武将）
上塚周平（ブラジル日本人移民功労者、名誉町民）
上塚司（元衆議院議員、名誉町民）
東家嘉幸（元衆議院議員、元国土庁長官、名誉町民）
林田正治（元衆議院議員、元参議院議員、元熊本市長、名誉町民）
小林久雄（考古学者、初代町長、名誉町民）
鋳方徳蔵（陸軍中将）
緒方信助（元星薬科大学学長）
木村栄一（保険学者、一橋大学名誉教授）
松本雅明（東洋史学者、熊本大学名誉教授、『城南町史』編著者）
乾信一郎（小説家、放送作家、翻訳家）
宮部寸七翁（ジャーナリスト、俳人）
甲斐麻友子（ローカルタレント）
宮崎京（ファッションモデル、2003年ミス・ユニバース5位入賞）
潮錦義秋（元大相撲小結）
肥後ノ城政和（大相撲力士）
米村知子（元女子プロテニス選手）
常盤よしこ（ローカルタレント）
伊織（漫才師、お笑いコンビ『からし蓮根』のボケ担当）

参考文献

松本雅明編著 『城南町史』 城南町史編纂会、1965年。

関連項目

* 熊本県の廃止市町村一覧

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