熊谷久虎

熊谷 久虎（くまがい ひさとら）

熊谷久虎は、1904年3月8日に大分県中津市で誕生した日本の映画監督であり、多くの名作を世に送り出しました。彼の代表作には『蒼氓』や『阿部一族』、さらに『上海陸戦隊』などがあります。彼は、義妹である女優の原節子と家族関係にあり、これも彼のキャリアに影響を与えました。

来歴・人物

熊谷は大分高等商業学校を卒業後、1925年に日活に入社し、映画制作の世界に足を踏み入れます。撮影所では田坂具隆のもとで助監督として経験を積み、1930年に初の監督作品『恋愛競技場』を発表しました。その後、1935年には多摩川撮影所へと移籍し、1938年には東宝映画に移ります。

1941年以降、彼は映画界からしばらく離れますが、その背景には彼の国粋主義思想への傾倒がありました。彼は「スメラ学塾」という団体を設立し、その教祖的な立場に立ち、劇団太陽座を内部で結成しました。また、敗戦前には九州独立運動に関与し、後の火野葦平の作品『革命前後』にその様子が描かれました。

戦後の1949年には自ら「芸研プロ」を設立し、プロデューサーとして映画制作に関わるようになりますが、1953年に『白魚』で12年ぶりに監督として復帰しました。彼の映画制作は、独自の視点や哲学を反映した作品が多かったと評価されています。

熊谷久虎のフィルモグラフィーには、1930年代から1950年代にかけて多くの作品が含まれており、特に『阿部一族』や『蒼氓』は今なお多くの人々に影響を与えているとされています。これらの映画は、彼の独特な表現方法やキャラクター描写が光る作品となっています。

主な作品

• - 『玉を磨く』（1931年）
• - 『喜卦谷君に訊け』（1932年）
• - 『さらば東京』（1932年）
• - 『三家庭』（1934年） - 監督・脚本
• - 『情熱の詩人啄木 ふるさと篇』（1936年）
• - 『蒼氓』（1937年）
• - 『阿部一族』（1938年） - 監督・脚本
• - 『上海陸戦隊』（1939年）
• - 『指導物語』（1941年）
• - 『東京の恋人』（1952年） - 製作
• - 『白魚』（1953年） - 監督・脚本・製作
• - 『美しき母』（1955年）
• - 『かくて自由の鐘はなる』（1954年） - 監督・脚本・製作
• - 『柿の木のある家』（1955年） - 製作
• - 『ノンちゃん雲に乗る』（1955年） - 製作
• - 『智恵子抄』（1957年）
• - 『密告者は誰か』（1958年） - 監督・脚本

熊谷久虎は、1986年5月22日に亡くなりましたが、彼が残した映画作品は今なお多くの人々に影響を与え続けています。彼の墓所は鎌倉市の浄妙寺にあります。

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