熊野有馬氏

熊野有馬氏の歴史

熊野有馬氏（くまのありまし）は、熊野地方における重要な国人領主であり、その起源は熊野別当家に求められます。この氏は、元々は産田神社の神官であった榎本氏が有馬地域で力を持ち、有馬氏と名乗るようになったとされています。

南北朝時代の動向

南北朝時代において、有馬氏は当初南朝を支持して行動していましたが、永徳2年（南朝の弘和2年、1382年）ごろには北朝方へと転向しました。彼らは北山勢との戦闘において兄弟たちと家子、若党を失い、多くの命が奪われました。

応永年間（1394年 - 1428年）には、和泉守忠永が阿田和（現・御浜町阿田和）から行野（現・尾鷲市）までの地域を支配し、有馬氏の影響力が強まったことが記録されています。特に、阿田和の近くにはその一族の榎本出雲守が館を構え、賀田（現・尾鷲市賀田町）には榎本具行が城を築いていました。

『紀伊続風土記』によれば、和泉守忠永は応永19年（1412年）に亡くなり、その跡を息子の和泉守忠親が継承したとされていますが、忠親は永正18年（1521年）には産田神社を造建したとの棟札が残っているため、年代的には親子関係であることが疑問視されています。

武士の戦闘と内紛

『熊野年代記』には享徳3年（1454年）の「有馬が鵜殿と合戦した」という記録があり、この合戦では鵜殿重道が十九人を討取ったことが明記されています。これに関連して、忠永と忠親を繋ぐ重要な人物が関与していたと考えられています。

忠親は子供に恵まれなかったため、甥の河内守忠吉を後継者に指名し、1523年頃には木本の鬼ヶ城の上に鬼ヶ城本城を築いて隠居しました。しかし、隠居後の1526年には実子が生まれたため、忠親は忠吉を久生屋で自刃に追い込むこととなります。この出来事に憤慨した忠吉の親族は忠親を攻撃し、結果的に忠親は敗れて自刃しました。

その後、実子の三郎が家督を継ぐことになりますが、有馬氏は既に大きく勢力を失っていました。三郎もまた、天文年間（1550年頃）に25歳で亡くなり、その後は新宮を本拠地とする堀内氏が勢力を拡大し、有馬氏に対して攻撃を仕掛けるようになります。堀内氏の攻勢を受けた有馬氏は、内紛により一層の困難に直面しました。

有馬氏の終焉

堀内氏との結び付きもあり、特に堀内氏虎の死後には、その養子に入った者が有馬家に影響を及ぼし、結果的に有馬氏は堀内氏に取り込まれていきました。このようにして、氏善が新宮で堀内氏を継承したことで、有馬氏は氏善の五男である氏時が家を継ぐことになります。

系譜

有馬氏の系譜は次のようになります：

```
忠永
┃
常利
┃ ┏━━━━━━━━━━┓
忠親　　　　 □
┝━━━━━┓　　┃
忠吉　 孫三郎　忠吉
┃
楠若（堀内氏善）
┃
氏時
```

参考文献

• - 『御浜町誌』
• - 『尾鷲市史』
• - 『熊野市史』
• - 『新宮市史』
• - 東紀州百科事典
• - 『紀伊南牟婁郡誌』

関連項目

• - 堀内氏
• - 産田神社
• - 長生山安楽寺
• - 保元の乱
• - 平治の乱

このように、熊野有馬氏は波乱に満ちた歴史を有し、その後の地域の勢力図にも大きな影響を与えました。

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