熱き星たちよ

「熱き星たちよ」は、日本プロ野球のセントラル・リーグに所属する横浜DeNAベイスターズの公式球団歌です。この楽曲は1992年に発表され、球団の歴史と共に歩んできました。作詞は秋谷銀四郎氏、作曲は朝倉紀幸氏が手掛けています。

制定の背景と変遷

この歌が生まれたのは、親会社である大洋漁業が1993年にマルハへと社名変更するタイミングでした。これに伴い、球団名も企業名を冠さない「横浜ベイスターズ」に改称し、地域に根差した球団運営を目指すことになります。その新しいスタートに合わせて、1977年から使われていた旧球団歌「行くぞ大洋」に代わる新しい球団歌として「熱き星たちよ」が制定されました。オリジナル版の編曲は矢賀部竜成氏、歌唱はザ・ベイスターズ名義で高尾直樹氏が担当しました。

その後、球団の親会社は2002年にマルハからTBSへ変わりますが、この時は球団名の変更はありませんでした。しかし、2012年にTBSからディー・エヌ・エー（DeNA）へ親会社が変わった際に、球団名は「横浜DeNAベイスターズ」と約20年ぶりに企業名を含む形へと改称されました。このような大きな変化を経ても、「熱き星たちよ」は引き続き球団歌として歌われることになりました。福岡ソフトバンクホークスの「いざゆけ若鷹軍団」と同様に、親会社変更に伴う歌詞の修正は行われたものの、楽曲そのものは引き継がれたのです。ただし、「いざゆけ若鷹軍団」とは異なり、「熱き星たちよ」は歌唱者や楽曲のアレンジが変更され、キーも一つ下げられています。歌詞では「横浜ベイスターズ」という部分が「DeNAベイスターズ」に改められ、メロディーラインにも微調整が加えられました。それでも、一部の私設応援団はスタンドでオリジナル版のメロディーラインでトランペットを演奏しており、それに合わせてファンも「横浜ベイスターズ」と歌う光景も見られます。

駅メロディとしての広がり

本拠地である横浜スタジアムの最寄り駅、JR根岸線の関内駅では、2011年6月2日から（当初はプロ野球シーズン中のみ、2013年以降は通年）この曲のオリジナル版をアレンジしたものが発車メロディとして使用されています。また、ファームの本拠地である横須賀スタジアムに近い京浜急行電鉄本線の追浜駅でも、2018年 11月19日からDeNA買収後のバージョンをアレンジしたものが接近メロディとして採用されています。これらの駅メロディはいずれも塩塚博氏が編曲を手掛けています。

DeNA体制下での様々なバージョン

DeNAが球団を引き継いだ2012年以降、「熱き星たちよ」は様々なバージョンが制作され、ファンに届けられています。球団買収当初は新しい球団歌の制定も検討されましたが、「継承と革新」というキャッチフレーズのもと、この歌を継続使用することが決定しました。

2012バージョン: 球団名が横浜DeNAベイスターズとなった最初の年、中畑清監督や三浦大輔投手を含む選手たちが歌唱しました。原曲とは異なるディスコ＆テクノ風のアレンジが特徴です。歌詞は「横浜ベイスターズ」の部分以外に大きな変更はありませんでしたが、2番の最後には「横浜」という地名が残されました。編曲・プロデュースは豊島吉宏氏（Maestro-T）が担当しています。
2013年: この年は新しいバージョンは制作されませんでした。
2014年バージョン: 選手ボーカルが一新され、前奏や間奏、アウトロの英語のセリフがスペイン語に変更されました。
2015Version: 再び選手ボーカルが入れ替わり、チームの「第二幕の始動」に合わせてアレンジに手が加えられました。セリフは2012バージョンと同様に英語に戻されています。
2016Version: ラミレス監督がレコーディングに参加。前奏とアウトロの歌詞の一部が変更され、ラミレス監督のセリフも勝利後の「I☆YOKOHAMA」や「Go BAYSTARS! VICTORY!」といったフレーズが取り入れられました。
2017ヴァージョン: 導入部のセリフが復活し、ラミレス監督が考えたシーズンスローガン「THIS IS MY ERA.」が強調されました。
2018ヴァージョン: 冒頭のセリフに「I☆YOKOHAMA」が再び登場し、アウトロはシーズンスローガン「Victory is within us.」で締めくくられています。
2019ヴァージョン: 冒頭のセリフにスペイン語のフレーズが復活。ラテン音楽調のアレンジが加えられ、アウトロはシーズンスローガン「Go Beyond the Limit.」で終わります。
2020ヴァージョン: アウトロでシーズンスローガン「New Generation is here.」が使用されました。
2021ヴァージョン: 新型コロナウイルスの影響で初めて全員日本人選手・監督でのレコーディングとなりました。新任の三浦大輔監督が参加し、アウトロでシーズンスローガン「横浜一心」と「ヨロシク！」というフレーズを発しています。
2022ヴァージョン: 2年ぶりに外国人選手がレコーディングに参加しました。イントロではシーズンスローガン「横浜反撃」から始まります。
2023ヴァージョン: この年からCD販売がなくなり、音楽配信サービスでのリリースとなりました。田代富雄巡回打撃コーチもレコーディングに参加し、アウトロはシーズンスローガン「横浜頂戦」で締めくくられます。LUCKY7 MIXも存在します。
2023(監督・コーチ)ヴァージョン: 1998年優勝記念イベントに合わせて、当時の現役選手だった三浦監督を含むOBたちが歌唱するバージョンが球団公式YouTubeで公開されました。
2024ヴァージョン: 新加入選手などが参加し、アウトロはシーズンスローガン「横浜進化」で締めくくられます。
* 2025ヴァージョン: 新規参加選手などを迎え、アウトロはシーズンスローガン「横浜奪首」で締めくくられる予定です。

このように「熱き星たちよ」は、球団の歴史やその時々のチーム状況、スローガンに合わせて形を変えながら、横浜DeNAベイスターズを応援するファンにとって欠かせない存在として愛され続けている一曲と言えるでしょう。

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