熱海事件

熱海事件の詳細

1932年、昭和7年の10月30日における熱海事件では、日本共産党幹部が一斉に検挙されました。この事件は静岡県田方郡熱海町（現在の熱海市）で発生し、特別高等警察による厳しい取締りの一環として行われました。

この事件の発端は、特別高等警察が進めていた赤色ギャング事件の調査が契機となりました。警察は共産党幹部たちが温泉地で地方代表者会議を開くという情報を掴み、この会議を中止させるために一斉検挙を計画しました。事件発生前日から、警視庁特別高等警察課は企業の慰安会を装って、現場付近に潜伏し待機していました。

1940年のこの検挙の際、約100人以上の警察官が早朝の熱海市西山にある別荘を取り囲み、一斉に踏み込んだのです。午前4時50分、団体が宿泊していた場所に急襲をかけると、共産党員たちは発砲などの激しい抵抗を示しました。この結果、警察官2人が重軽傷を負い、最終的には11人の共産党員が逮捕されることとなりました。

逮捕された共産党員の供述によれば、彼らは丸ビルにある企業の慰安会という名目で別荘を予約していたものの、人の集まりが悪く、旅館側がその企業に問い合わせを行っていました。この問い合わせが警察にばれる前に、急遽グループは会議を中止しようとしたところに、警察の急襲が行われたとのことです。

興味深い点として、特別高等警察は「スパイM」という情報を近くに持っており、その人物が実際に事件に関与していたと考えられています。この「スパイM」は共産党幹部の一人であった飯塚盈延であると言われており、彼は本事件のなかでも唯一逮捕を免れた人物とされています。「M」という名前が彼の偽名である「松村」の頭文字に由来しているという見解があります。

事件発生時はメディアへの報道が禁じられ、事件についての詳細はその数ヶ月後の1933年1月18日まで公開されませんでした。事件以降、警察は共産党に対する取締りを強化し、その後の治安維持政策に大きな影響を与えることとなります。

このように、熱海事件は日本の政治史において重要な意味を持つ事件とされており、特高警察の捜査手法や共産党への圧力を象徴する事例として多くの研究によって取り上げられています。関連文献には警視庁史や、特高警察に関する研究書があり、事件の詳細についての理解を深める手助けとなるでしょう。

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