飯塚盈延

飯塚 盈延について

飯塚 盈延（いいづか みつのぶ、1902年10月4日 - 1965年9月4日）は、日本の歴史における重要な人物であり、その生涯は政治的な陰謀に満ちています。特に、共産党員から特別高等警察のスパイに転身したことが注目されています。愛媛県出身の彼は、非常に優秀な学生であり、尋常小学校に通いながら早くからその才能を発揮していました。

人生の初期

1902年に愛媛県周桑郡小松町に生まれた飯塚は、成績が優秀であったため周囲からは「天才」と称賛されました。彼は、米騒動などの社会的状況に触発され、日本共産党に入党し、渡辺政之輔の指導の下、東京合同組合で活動を開始しました。これにより、彼は日本の労働運動に身を投じることになります。

労働運動と留学

日本共産党の一員として活動を続ける中で、飯塚は若手の労働運動活動家として期待され、共産党によってモスクワの東方勤労者共産大学（クートヴェ）に留学することとなります。留学中、彼は「フョードロフ」という偽名を用いながら共産主義の理念を学ぶものの、その思想に次第に疑念を抱くようになります。彼の共産党への幻滅は、帰国後の彼の行動に大きな影響を与えることとなります。

スパイとしての活動

帰国後、飯塚は特別高等警察のスパイとなり、松村という変名のもと、共産党に潜入しました。彼は家屋資金局の責任者として党内の過激な活動を扇動し、共産党の代表者を一斉に検挙する「熱海事件」にも関与しました。彼のスパイ活動は巧妙であり、同じく留学していた風間丈吉などの党幹部からも全く疑われることがありませんでした。そのため、彼の行動に従う党員たちは、彼が警察のスパイである可能性を考えることがなかったのです。

熱海事件後の生活

熱海事件後、飯塚は満州でしばらく兄とともに建築業に従事したとの情報もあります。また、1976年の国会懲罰委員会では、共産党議員が飯塚のその後の生活について言及しています。彼は、終生逃亡者としての生活を送り、北海道や満州を往復しつつ、偽名を用いながら社会から身を隠すことを余儀なくされました。

終焉

彼の人生は1965年9月4日に終わりますが、その背景には多くの陰謀が絡んでいます。特高による厳重な監視と、かつての仲間からの脅威に怯えながら、彼は世を忍ぶ生活を続けました。

飯塚盈延は、単なる一人の共産党員から、警察のスパイへと転じたことで歴史の影に影響を与えました。彼の生涯は、政治的な運動と個人の選択がどのように交差していくのかを示す一例であり、その複雑さから多くの教訓が得られます。

もう一度検索