熱海型砲艦

熱海型砲艦

概要

熱海型砲艦（あたみがたほうかん）は日本海軍の砲艦の一つで、昭和2年度（1937年度）の計画で建造が進められました。この艦級は、勢多型の改良版であり、前型の実績を基にした設計が施されています。終戦時には、2隻とも上海方面にて健在であり、中国軍に接収されています。

計画と背景

建造は当初、1,000トン型の大型砲艦1隻、850トン型の中型砲艦1隻、340トン型の小型砲艦4隻を想定していましたが、最終的には220トン型の小型砲艦2隻のみの予算が承認されました。特に揚子江方面の警備を強化する必要があったため、河用砲艦の開発が急務とされました。設計には、すでに運用されている河用砲艦の使用実績が重要視され、1928年に設計担当者が現地調査を行って状況を把握しました。

艦型と船体

熱海型砲艦は、英国式の勢多型と比べ、独特のスタイルを持っています。煙突は低く、操舵室は大型化され、 日本海軍の特色が表れています。艦の長さは45.3メートルに抑えられ、揚子江の急流に適した速力16ノットが要求されました。なお、船体の柱形係数は0.63とされ、効率よく推進できるよう設計されています。

艤装

艦の一般配置は勢多型を踏襲し、艦橋の前方に艦橋、後方に下士官室が配置されています。居住性を向上させるため、艦内設備も改善され、無線通信能力も強化されています。

機関

熱海型の機関には、ボイラーとしてロ号艦本式混焼缶2基が装備され、圧力14kg/cm²の飽和蒸気を利用しています。また、重油専焼に改められた背景には、揚子江での燃料の入手のしやすさがあります。主機は直立2気筒の2段膨張直動式レシプロが2基設置されています。

兵装

竣工当初の兵装は、短8センチ高角砲1門に、7.7mm機銃5挺、小掃海具が搭載されていました。装備の増強に伴い、1937年には13mm連装機銃が1基追加され、その他も改修が行われました。太平洋戦争開戦前後には、艦首の高角砲が改装されることもありました。

運用

熱海型は「熱海」と「二見」の2隻が建造され、様々な戦闘に参加しました。日中戦争や太平洋戦争では揚子江で対空監視といった任務もこなしました。終戦時には両艦は中国軍に接収され、その後も運用が継続されました。

結論

熱海型砲艦は、当時の日本海軍が満たすべく設計された重要な艦種であり、揚子江での実用性を重視した設計がなされました。戦後もその影響力を持ち続けた艦級といえます。

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