熱海市伊豆山土石流災害

熱海市伊豆山土石流災害

2021年7月3日午前10時半ごろ、静岡県熱海市伊豆山地区の逢初川で大規模な土石流が発生しました。この災害は、28名の命を奪い、地域の人々に深刻な影響を及ぼしました。特に、1名は災害関連死として認定されています。最も多い時期には約580名が避難し、136棟の建物が被害を受けました。また、2022年6月時点で被災地は原則立ち入り禁止となるなど、影響は長期に渡りました。

災害の背景

土石流の発生は、上流地域における違法な盛土の崩壊が主な原因として挙げられています。このことはその後の調査により明らかになり、国や自治体の盛土規制の甘さが浮き彫りとなりました。その結果、盛土規制の強化も求められることになります。

発生の経緯

気象庁によると、当日東海地方を中心に記録的な大雨が降りました。熱海市網代の観測地点では、48時間で321mmの降水量を記録しました。8時20分頃、住民が泥水が流れる様子を目撃し、10時28分には家が地滑りで流されるとの通報があり、消防隊が出動しました。

しかし、伊豆山地区のバス通りは土砂で通行止めとなっており、救助活動が困難でした。その矢先、大規模な土石流が発生し、多くの住宅を巻き込みました。消防隊員は奇跡的に避難し、大規模な救助活動が展開されることとなりました。土石流は逢初川を伝って海に向かって約1km流れ、131棟の住宅に被害を及ぼしました。

災害の影響

この災害により、28名が死亡し、その中には災害関連死が1名含まれています。避難者は153名で、多くの家屋が半壊または全壊しました。災害発生後、静岡県は「緊急安全確保」の気象警戒レベル5を発令し、2万957世帯の3万5602人の市民に避難勧告が出されました。

また、多くの住宅が被害を受けたことにより、温泉街として知られる熱海市において、たくさんの避難所が設けられ、宿泊施設も避難者を受け入れましたが、一方で観光業は大打撃を受け、宿泊キャンセルが多発しました。

救助活動と支援

自衛隊や消防、警察などが参加した大規模な救助活動が展開されました。また、伊豆山地区が温泉地であることから、避難者は地元のホテルに多く受け入れられました。しかし、支援物資の到着があっても、物品が消費されず、逆に保管のスペースが圧迫される事態となるなど、難しい状況が続きました。

7月5日には「災害ボランティアセンター」が開設され、ボランティアの募集が始まりましたが、二次災害の懸念から活動が制限されていました。7月21日からボランティア活動が本格的に始まりましたが、活動は地域住民に限られていました。

行政の対応

災害の後、国土交通省は全国の盛土に関する調査を実施し、その結果、1089箇所で不備が見つかりました。この事態を受けて新たな盛土規制が必要だとの見解が示され、2022年には「宅地造成及び特定盛土等規制法」の改正案が成立しました。これにより、盛土には都道府県知事による許可制度が導入され、法的な罰則も設けられることとなりました。

災害の発生から数年が経過し、地域住民の精神的なケアや被災者支援が求められる時期や、今後の安心・安全な地域づくりが求められる課題となるでしょう。

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