熱海港

熱海港（あたみこう）

静岡県熱海市に位置する熱海港は、相模湾に面した地方港湾です。この港は、静岡県東部の海上交通を支える重要な拠点であり、また、豊かな自然とレジャー施設が融合した観光スポットとしても多くの人々に親しまれています。特に、沖合に大規模に整備された海釣り施設は港の大きな特徴の一つであり、国土交通省から「釣り文化促進モデル港」にも指定されています。初島や伊豆大島への定期船が発着し、観光客や地元住民の往来を支えています。

港湾内の主要施設

サンレモ公園

熱海港の北西部、親水公園第四工区と直結した場所に広がる公園です。1976年に熱海市がイタリア・サンレモ市と国際姉妹都市提携を結んだことを記念し、1982年12月10日に開園しました。園内には、姉妹都市提携の由来を示す碑が設置されています。一部にイタリア風の彫刻付き噴水が設けられ、異国情緒を演出していますが、基本的にはブランコや滑り台などの遊具、公衆電話、トイレなどを備えた、地域住民や観光客が憩える一般的な公園としての機能を持っています。また、坪内逍遥作詞の熱海市歌の碑も建立されており、郷土への愛着を感じさせる場所でもあります。道路を挟んだ北西側には温泉リフレッシュプラザ「マリンスパあたみ」があり、海側からの一方通行道路沿いに路線バスの「マリンスパあたみ」バス停が設置されています。公園の南東隣は熱海港定期船乗り場となっています。

熱海港定期船乗り場

この港の主要な機能の一つが、初島と伊豆大島への定期航路の発着点であることです。初島へは富士急マリンリゾートが運航する「イルドバカンス3世号」や「イルドバカンスプレミア」が、伊豆大島へは東海汽船のジェット船「セブンアイランド 結」「セブンアイランド 愛」「セブンアイランド 友」「セブンアイランド 大漁」などが就航しています。初島までは約30分、伊豆大島までは約45分の船旅です。乗り場には乗船券の受付窓口や快適な待合室が完備されています。陸側の道路沿いにはタクシー乗り場と路線バスの「熱海港」バス停があり、公共交通機関でのアクセスも便利です。さらに、南東脇には約60台分の市営「臨港駐車場」が設けられており、車で訪れる際の利便性も確保されています。

ショップ・食堂エリア

熱海港の最奥部、臨港駐車場の南東隣にあたる一角は、漁船が多く集まる漁港エリアとなっています。このエリアの道路沿いには、地元の漁師が経営する食堂や、釣具店、スキューバダイビング関連の店舗などが軒を連ねています。新鮮な海の幸を使った料理を提供する「第八富士丸食堂」「みどり丸食堂」「第一富士丸食堂」「貴美の浜焼き」や、釣り具の販売や貸し竿を行う「フィッシングショップ サンワ」、スキューバダイビングサービスを提供する「ダイビングサービス熱海」などがあります。このエリアの道路沿いには路線バスの「熱海後楽園」バス停があり、道路を挟んで南側にはアタミロープウェイの乗り場、南東方向には熱海後楽園ホテルが位置しており、周辺施設への移動にも便利です。

熱海港海釣り施設

熱海後楽園ホテルの北方、大規模な埋立地に整備された広大な釣り場です。埋立地の大部分は下水処理場として利用されていますが、その北西にある大型船接岸用の七半岸壁の先に、長さ260メートル、幅14メートルにわたって海に突き出すように伸びる堤防の西側（熱海湾内側）に「熱海港海釣り施設」が設けられています。この施設はNPO法人SEA WEBによって管理運営されており、荒天時や高波、強風時、および花火大会開催日（花火大会がない月は第3水曜日）を除き、原則として年中無休で利用できます。営業時間は季節によって異なりますが、概ね日の出から日没までです。利用料金は大人500円、小中学生300円で、安全のためにライフジャケットが無料で貸与されます。手軽に釣りを始めたい人向けに、餌代込みで1本2200円の貸し竿も用意されています。水深は堤防直下で約7〜8メートル、少し遠くで約15〜17メートルと比較的深く、カゴ釣りやフカセ釣りなどでメジナ、クロダイ、アジ、サバなど、時期によってはイナダやソウダガツオといった回遊魚も狙えるため、堤防釣りとしては本格的な釣りが楽しめる場所として人気があります。施設利用者のために、南西側に350台収容可能な専用駐車場（普通車1日500円、バス1日1000円）も完備されています。

周辺環境とアクセス

熱海港の周辺は、観光スポットや宿泊施設が集積したエリアです。北西側は親水公園第四工区と地続きで、さらに道路を隔ててマリンスパあたみが向かい合っています。南東側には、丘の上にある熱海城へ向かうアタミロープウェイの乗り場と、大型リゾートホテルである熱海後楽園ホテルが位置しています。また、港の西方から南西にかけての崖沿いには、ホテルサンミ倶楽部、ウオミサキホテル、みのやホテル、秀花園湯の花膳など、多くの温泉旅館やホテルが立ち並び、宿泊拠点としても非常に便利な立地です。

熱海市街地から車で熱海港へアクセスする場合、国道135号の渚町周辺は海岸線に沿って時計回りの一方通行となっているため、注意が必要です。熱海駅からの公共交通機関としては、東海バスおよび伊豆箱根バスの路線バスが利用できます。熱海港エリアには、「マリンスパあたみ」（サンレモ公園脇）、「熱海港」（定期船乗り場正面）、そして「熱海後楽園」（漁港エリア、アタミロープウェイ乗り場近く）の3つのバス停があり、目的地に応じて使い分けることができます。

歴史と発展

熱海港周辺の近代的な整備は、1982年12月10日のサンレモ公園開園を契機に進められました。港湾機能の強化とレジャー施設の充実を図るため、1987年8月25日には大規模な埋め立て工事が完了し、現在の港湾の基礎が築かれました。海岸環境の整備 effortsは高く評価され、2004年には「熱海市海岸環境整備事業」として国土交通省の手づくり郷土賞（地域整備部門）を受賞しています。市民や観光客が海に親しめる場として、2006年4月には熱海港海釣り施設が完成し、NPO法人SEA WEBへの管理委託が始まりました。そして、釣りを地域の文化として振興する取り組みが評価され、2019年3月には国土交通省により「釣り文化促進モデル港」に指定されるなど、熱海港は海辺の拠点として常に進化を続けています。

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