燃える勇者

『燃える勇者』：80年代東映アクション青春映画の金字塔

1981年12月19日、東映より公開された映画『燃える勇者』（The Blazing Valiant）は、アフリカで育った日本人青年ジョーの活躍を描くアクション、青春、冒険映画です。主演は当時人気急上昇中だった真田広之。監督は土橋亨、アクション監督には千葉真一と、豪華スタッフ陣が集結しました。

ストーリー：運命のいたずらと壮絶な闘い

両親の遺骨を埋葬するため日本に帰国したジョーは、思わぬアクシデントにより見知らぬ地方都市に辿り着きます。そこで彼は、街を牛耳る悪徳集団の陰謀に巻き込まれ、壮絶な戦いを繰り広げることになるのです。

ジョーの戦いをサポートするのは、ダンプカーの運転手やルポライターなど個性豊かな仲間たち。彼らと共に、ジョーは悪の組織に立ち向かい、数々の困難を乗り越えていきます。クライマックスでは、千葉真一のアイデアを取り入れた、息を呑むようなアクションシーンが展開。列車へのダイナミックなジャンプなど、手に汗握る迫力満点の映像が観客を魅了します。

キャストとスタッフ：実力派俳優陣とベテラン監督の競演

主演の真田広之は、本作で持ち前のアクションスキルと演技力を遺憾なく発揮。彼を支える脇役陣も、若山富三郎、勝野洋など実力派俳優が顔を揃えています。アクション監督の千葉真一は、スタントシーンにも直接携わり、作品にリアルな迫力と見応えを与えています。監督の土橋亨は本作が初監督作品であり、東映京都撮影所の期待を一身に背負って挑みました。

製作背景：真田広之をスターダムへと押し上げた東映の戦略

1980年代初頭、日本の映画界ではヤングアイドルの映画がヒットを連発。東映も真田広之を新たなスターとして売り出すべく、本作を含む複数の主演映画を製作しました。真田は薬師丸ひろ子と共に「映画で育ち、映画で活躍する新たなスター」と評され、東映は彼を全面的に支援。後援会結成やイベント実施など、積極的なプロモーション活動を展開しました。

当初、本作の公開枠は変更を繰り返しました。松田聖子や沖田浩之の主演映画が企画段階で中止・変更された影響を受け、最終的に『セーラー服と機関銃』との二本立て公開となりました。東映は『燃える勇者』の成功に関わらず、真田主演の続編『ザ・ニンジャ』の製作も決定しており、同社による真田への期待の高さが伺えます。

本作は、真田広之にとってJAC（ジャパンアクションクラブ）のファミリー映画的枠組みから離れ、単独で主演を務める最初の作品でした。真田自身も大きな責任を感じながらも、本作で新たな演技に挑戦し、大きく成長を遂げています。

作品性と評価：興行収入23億円の大ヒットと高い評価

『セーラー服と機関銃』との二本立て公開によって、本作は多くの観客動員に成功。23億円という莫大な興行収入を記録し、1982年邦画興行収入ランキング1位を獲得しました。この成功は、真田広之の知名度向上に大きく貢献し、彼のさらなる飛躍を促すこととなりました。東映にとっても、経営不振から回復するきっかけとなる大ヒットとなりました。

近年でも、中川翔子など多くの著名人から本作への高い評価が寄せられています。その迫力あるアクションシーンや、真田広之の演技は、時代を超えて人々を魅了し続けています。

まとめ：時代を超えて愛されるアクション青春映画

『燃える勇者』は、アクション、青春、冒険、そしてドラマ性が見事に融合した、80年代東映映画を代表する名作です。真田広之の熱演、千葉真一による圧巻のアクション、そして豪華共演陣の演技が織りなす、忘れられない作品となっています。 DVDやネット配信でも視聴可能なので、ぜひ一度ご覧になってみてください。

もう一度検索